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コラム

オフィスの原状回復工事とは?期間や費用の相場、注意点を解説

2022年12月27日

近年、働き方の多様化によりオフィスを移転・廃止する企業が増えています。退去の際は原状回復工事が必要になるケースがほとんどですが、その工事範囲や費用に関して借主とトラブルになることが少なくありません。今回は、原状回復工事の基本的知識や大まかな費用、スケジュールなどを解説します。要所ごとに注意点もお伝えするので、参考にしてください。

原状回復工事とは?費用や期間はどれくらい

原状回復工事は、業者選定や工事範囲、費用に関してトラブルが起こりがちです。ここではまず、原状回復工事の基本的な解説からスタートしましょう。

原状回復工事とは

「原状回復工事」とはその名の通り、入居時の何も手を施していないときの状態に戻す工事のことです。とはいえ、完全に元の状態に戻すのは困難であるため、契約書の内容に沿って必要な部分を回復することになります。原状回復工事はオフィス退去の際に必須となるプロセスで、改正民法621条により義務付けられています。借主に対しては国土交通省により定められたガイドラインもあるため、回復の範囲をすり合わせる際、参考にするのもよいでしょう。

【民法】が定める原状回復義務

民法が定める賃借人の原状回復義務は以下の通りです。

【改正民法621条】賃借人の原状回復義務

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

引用:e-GOV 法令検索

【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】が定める原状回復の定義

国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】によって示された原状回復の定義についても確認しておきましょう。

原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。

参考:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)8ページ

原状回復工事を行うタイミング

オフィスと賃貸住宅の原状回復では、工事のタイミングが異なります。賃貸住宅の原状回復工事は「契約終了後」に行いますが、オフィスなどテナントの場合は「契約終了まで」に工事を完了させ、引き渡してもらうのがほとんどです。規模の大きいオフィス・設備の多いオフィスは工事期間が長引く可能性もあるため、契約内容を事前確認しておきましょう。賃貸契約期間内に工事が完了しない場合、その分借主の賃料負担が増えることになります。

工事の期間や費用はどれくらい?

工事期間はオフィスの規模や設備の数、損傷の有無・度合いによって変動します。小規模でも間仕切りが多い・空調設備や照明を変更している・損傷が激しいなどの理由で時間を要するケースもあるでしょう。一般的な工数の工期は小規模オフィスで1週間ほど、100坪未満で2週間~1カ月、100坪以上では1カ月~となっています。費用は小・中規模オフィスで2~5万円/坪、大規模になると5~10万円/坪が目安ですが、こちらも現場によって変動するため施工業者への確認が必要です。原状回復工事を行うとなると借主との打ち合わせもあります。どういった予定で工事を進めるのか、進捗状況に問題はないのかといった確認を取るようにしましょう。

工事の範囲は?

オフィスなどのテナントは、賃貸住宅より原状回復の範囲を広く設定している場合があります。工事の範囲は、「通常使用による損耗」「経年劣化」「過失や故意による損耗」の3つです。各区分によって対象物と費用負担者が異なるため、1つずつ解説していきます。

通常の使用による損耗

通常の使用による損耗の原状回復は、「貸主」に工事・費用負担の義務があります。対象となるのは、オフィスに持ち込まれたデスク、コピー機、冷蔵庫といった家具・備品の影響で凹んだ床やカーペットの改修・回復などです。

経年劣化

時間の経過や自然発生的な損耗の原状回復も「貸主」に工事・費用負担の義務があります。対象となるのは、日焼けによる畳・クロスの変色や色あせ、耐用年数を経過した設備の改修・回復などです。

過失・故意による損耗

借主の過失や故意、通常を超える使用によって発生した損耗の原状回復は、「借主」に工事・費用負担の義務があります。対象となるのは、喫煙によるクロスや塗装の変色、結露を放置したことによって生じたカビ、飲食物をこぼしてできたシミの回復などです。

借主に関わらず発現した通常の使用による損耗や経年劣化は、借主の原状回復義務に含まれず、貸主が負担する範囲です。ただし原状回復の範囲は各契約によって異なります。貸主・借主の間で認識のズレが生まれないよう、両者立ち会いの場を設けるなどしてトラブル回避に努めましょう。

原状回復工事の流れ

ここからは、原状回復工事を進める作業フローを見ていきます。

賃貸契約書を確認し業者に問い合わせ

まずは、賃貸契約書をもとに原状回復の範囲を貸主・借主間で確認し、合意したうえで業者へ問い合わせます。原状回復工事の施工業者を貸主が指定している場合、指定業者への問い合わせとなるため間違わないよう注意が必要です。特に指定がなければ、借主が選定した業者への問い合わせ・発注となります。工事は1ヶ月以上かかる場合もあるため、工事のスケジュールなど少なくとも2ヶ月前には把握しておくとよいでしょう。

現地調査と工事内容の確認

工事範囲の誤認を防ぐためにも現地調査は不可欠です。できるならば現地調査にも立ち会い、借主・施工業者がオフィスの状態を確認し、工事内容・工期の打ち合わせに進むことになります。工事範囲については貸主・借主間のすり合わせも大切ですが、施工業者と正しい情報を共有することも重要です。三者の言い分に食い違いがないよう、事前打ち合わせは丁寧に行いましょう。

見積もりおよびスケジュールの確認

施工業者には、現地調査をもとに原状回復工事の見積書を出してもらいます。借主は不明点・修正点がないか、見積内訳書もしっかりと確認して内容を明確にします。

また、この時点で可能な限りのスケジューリングもお願いしておきましょう。借主・施工業者間では見積書の確認が複数回に及ぶこともあります。そのため、工事期間とは別に着工までの時間も念頭に置くことが必要です。

発注・着工

借主・施工業者間で工事内容や見積金額に合意できたら正式な契約を結ぶことになります。着工すればスケジュールに沿って工事を進めますが、進捗状況などは定期的に把握しておきましょう。借主は、自社の要望や契約内容が反映されているかどうか、常に把握できる仕組みを整えておくことが必要です。また、適切に工事が行われているかどうかを検証する中間検査も実施するとよいでしょう。工事が完了したら見えなくなる箇所など、あらかじめチェックしておく必要があります。

施工完了および引き渡し

原状回復工事が問題なく完了すれば、オフィスの引き渡しです。追加工事が発生する可能性もあるため、工事が完了する前に最終確認の場を設け、賃貸契約書に記載された回復の範囲通りに工事が行われているかどうかチェックしましょう。ここで何も問題がなければ、無事引き渡しとなります。

原状回復工事の注意点

これまでお話した通り、オフィスと住宅では原状回復工事の範囲やタイミングが異なります。また、借主との間に起こるトラブルも少なくありません。以下で、原状回復工事を行う際に注意すべき点をお伝えします。まずは賃貸契約書を確認し、原状回復の範囲・施工業者指定の有無・回復完了期限といった、基本的かつ重要な事柄を押さえておきましょう。

原状回復の範囲を明確にしておく

オフィスを貸した当初の状態に回復してもらうには、借主が持ち込んだ家具・備品の撤去、入居後に設置した間仕切りなどの撤去はもちろん、造作物や看板、電気・LAN配線の撤去、床・壁・天井のクリーニングまで多岐にわたる作業が必要です。

借主の原状回復義務は過失や故意、通常を超える使用によって発生した損耗の範囲ですが、契約書や特約の内容によっては負担割合が異なります。トラブルを避けるためにも、貸主・借主の双方で原状回復の範囲を明確にする作業は欠かせません。

綿密なスケジュールを立てること

オフィス退去の際は、解約予定日から6ヶ月前までに「解約予告」をしてもらうのが一般的です。それを前提に、解約予告から6ヶ月以内に原状回復工事を完了させるよう工事スケジュールを設定してもらわなければなりません。オフィス移転が集中する時期に工事を発注した場合、希望する期間内に工事が完了しない可能性があるため要注意。また、オフィスのロケーションによっては工事できる時間帯や曜日が限られて進捗率が悪いケースもあるため、工期については綿密に計算してもらう必要があります。

原状回復工事は、オフィスや周辺環境によって工事が長期化するリスクを踏まえ、余裕を持ったスケジュールを組むように借主や施工業者に注意喚起しましょう。

指定業者以外に依頼可能か確認する

オフィスなどのテナントは、原状回復工事を行う施工業者をあらかじめ指定している物件が多いでしょう。そのような契約の場合、借主は指定業者に工事を依頼することになります。しかし、スケジュールが合わない、見積金額に合意できないといった不測の事態が起きないともいえません。このようなケースでは、指定業者とは別の施工業者に工事を依頼可能かという問い合わせがあることも考えられます。管理会社や貸主はこのような場合の対応方法を考慮しておくとよいでしょう

疑問点や不明点は専門家に相談する

原状回復に関する貸主・借主間のトラブルは少なくなく、裁判に発展する事例もあります。最新の法律をチェックし、それでも解決できない問題は弁護士や法律事務所など、専門家の力を借りましょ

まとめ

オフィスを入居時の状態に戻して引き渡してもらう「原状回復工事」は、貸主・借主の間でトラブルが起きやすい案件です。原状回復は法律で義務付けられていることに加え、契約書の内容も加味される複雑な工事になります。スケジュールや費用はオフィスの状態や周辺環境によって異なるため、余裕を持って準備しなければトラブルに発展するリスクが高まるでしょう。トラブル回避には専門家に相談するという方法もあります。疑問点や不明点は放置せず、その都度解決するようにしましょう。