オフィス移転時のチェックリスト!流れとやるべきことをわかりやすく解説
2024年1月10日
オフィスを移転する際にはやるべきことが多く、特に初めて経験する場合は、スムーズに進められていけるか不安を抱える担当者の方は少なくないのではないでしょうか。オフィス移転にあたってやるべきことは多岐にわたります。
そこで、オフィス移転に関してやるべきことを4つの段階に分けてチェックリストを作成して解説し、移転後に必要な手続きについても触れていきます。
オフィス移転までの流れ
オフィス移転には一般的に8ヶ月前からの準備が必要です。移転プロジェクトを立ち上げ、移転先のオフィスを選定した後、新オフィスのコンセプトや内装、レイアウトなどを決定し、内装工事を発注します。そして、社内外への周知をし、新オフィスに移転した後は、現オフィスの原状回復工事や各種手続きを行うという流れです。
【6ヶ月前まで】やるべきことチェックリスト
オフィス移転の8ヶ月前から6ヶ月前までにやるべきことをまとめました。
チェックリスト | |
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□ | 移転プロジェクトの立ち上げ |
□ | 現オフィスの解約について確認する |
□ | 移転先のオフィス選定 |
移転プロジェクトを立ち上げ、移転の目的の設定やスケジュールの策定を行うとともに、現オフィスの解約に関する契約内容を確認します。そして、移転の目的などを踏まえて、移転先のオフィス選定を行います。
移転プロジェクトの立ち上げ
オフィス移転が決定したら、8ヶ月前までにプロジェクトチームのメンバーを決めて移転プロジェクトを立ち上げます。プロジェクトチームは、移転の目的の設定やスケジュールの策定を行うことからスタートします。
移転の目的を設定する前の準備として、経営層から一般社員まで幅広くヒアリングを行い、「立地が不便」「従業員数の増加によって狭さを感じる」といった現オフィスの課題の洗い出しを行う作業が必要です。経営層には、「採用力を強化したい」「ブランディングの一環としたい」といった、経営上の戦略についても確認します。そして、現状のオフィスの課題やオフィス移転を通じて実現したい経営上の戦略をもとに、移転の目的を設定します。
また、移転までの大まかなスケジュールの策定をし、フェーズごとにやるべきことをまとめます。スケジュールは新オフィスでの営業開始日を決定し、逆算して組んでいくのが基本です。
現オフィスの解約について確認する
プロジェクトチームは移転目的の設定と並行して、現オフィスの賃貸借契約書をもとに、解約予告期間や原状回復の条件、預託金の返却時期などを把握しておきます。
一般的にオフィスは3~6ヶ月の解約予告期間が設けられています。解約予告期間よりも解約予告から退去日までの期間が短い場合には、解約手数料が発生する可能性があります。ただし、解約予告をすると、一般的に取り消しができないという点に注意が必要です。
新オフィスが決まってから解約予告を行う場合は、解約手数料や家賃の二重払いが発生するリスクがあります。一方、解約予告を行ってから新オフィスを探せば、家賃を二重払いする期間は抑えられますが、理想のオフィスが見つからないリスクがある点を踏まえておきましょう。
移転先のオフィス選定
オフィス移転の6ヶ月前までに、移転先のオフィスの選定を終えておきます。 プロジェクトチームを中心に移転先のオフィスの選定を進めていきますが、移転の目的をもとに新オフィスの条件を決めて、オフィスを探すという流れです。候補先は立地や最寄り駅からの所要時間、社員の通勤時間や交通費、取引先へのアクセス、賃料や共益費、保証金などのコスト、金融機関や飲食店、商業施設などの周辺環境などの項目をもとに検討します。また、電気容量や空調設備、セキュリティ、使用可能時間、駐車場の有無といったオフィスビルの機能も重要な要素です。
【3ヶ月前まで】やるべきことチェックリスト
オフィス移転の5ヶ月前から3ヶ月前までにやるべきことをまとめました。
チェックリスト | |
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□ | オフィスのコンセプトの決定 |
□ | オフィスの内装の決定 |
□ | オフィスのレイアウトの決定 |
□ | 工事の契約 |
□ | 家具や什器、OA機器の手配 |
□ | 業者の選定 |
新オフィスが決定したら、コンセプトにもとづいて内装やレイアウトを決定し、見積もりを確認した後、正式に契約を結んで内装工事を発注します。また、家具や什器、OA機器などの手配、各種業者の選定も進めておきます。
オフィスのコンセプトの決定
オフィス移転の5ヶ月前に、プロジェクトチームを中心に新オフィスのコンセプトを検討します。新オフィスのコンセプトの策定は、オフィスの設計業者に依頼する方法もあります。
新オフィスのコンセプトは、オフィス移転の目的のほか、新オフィスでの理想の働き方などをもとに決定します。 オフィスのコンセプトをもとに内装やレイアウトを決めていきますが、企業のブランディングや採用力、社員の満足度や定着率などに関わる重要なものです。
コンセプトの例として、「気軽にコミュニケーションが生まれる空間」「居心地よいおしゃれなカフェのようなオフィス」「自由度の高いワークスタイルのためのオフィス」などが挙げられます。
オフィスの内装の決定
新オフィスのコンセプトが決定したら、オフィスの内装デザインを決定します。プロジェクトチームを中心にオフィスの設計・工事業者と内装の打ち合わせを行い、内装プランの提案を受けて調整していくという流れです。
オフィスの内装は来訪した取引先の印象を大きく左右します。コンセプトを反映するとともに、カラーやデザインを企業イメージと合ったものにすることがポイントです。コーポレートカラーを取り入れるという手法が使われることもあります。
オフィスのレイアウトの決定
新オフィスの内装と同時にレイアウトについても、オフィスの設計・工事業者と打ち合わせを行い、レイアウトプランの提案を受けて決定していきます。レイアウトはコンセプトや社員の働き方、業務の形態に合わせて決めることが大切です。
たとえば、テレワークを導入しているケースや外出する社員が多いケースでは、フリーアドレスを導入すると、オフィスのスペースを効率よく使えます。ミーティングスペースやリフレッシュスペースを充実させて、社員の交流を促すこともできます。反対に社内で業務を行う社員が中心の場合は、一人ひとりに大きめのデスクを用意すると、快適に効率よく業務に取り組めます。あるいは、企業ブランディングを強化する場合には、エントランスを広めにとり、デザインを重視するといったプランが挙げられます。
また、社員が仕事をしやすいように、各スペースを配置して、通路幅を設定した動線計画にすることもポイントです。
工事の契約
新オフィスの内装デザインやレイアウトが決まり、設計が確定した段階で、見積もりをとります。工事費用が予算を超過するようであればプランを調整したうえで、工事業者と正式に契約を結び、工事を発注します。工事の発注は移転の3ヶ月前までに行うのが目安です。
家具や什器、OA機器の手配
内装やレイアウトと並行して、プロジェクトチームを中心に新オフィスの家具や什器、OA機器などの検討を行い、手配を進めていきます。家具や什器、OA機器は廃棄するものと新たに購入するものを整理し、新オフィスの移転に間に合うように手配を行います。
オフィスの設計・工事業者がOA機器やICTに詳しくない場合には、別途コンサルティングを依頼することを検討しましょう。
業者の選定
オフィス移転の5ヶ月ほど前から、プロジェクトチームを中心に各種業者の選定を進めて、打ち合わせを行います。新オフィスの内装・レイアウトプランの設計・工事を担う設計工事業者、オフィス家具の業者、OA機器のリース業者、引越業者のほか、現オフィスの原状回復工事を依頼する工事業者の選定が必要です。
現オフィスの原状回復工事の工事業者は、複数の業者に見積もりを依頼して検討します。ただし、賃貸借契約原状回復工事の工事業者は賃貸借契約書で、指定工事業者に依頼することが規定されているケースがあるため、注意が必要です。
各業者との打ち合わせでは、依頼する範囲を明確にし、認識に違いがないように気を付けましょう。
【1ヶ月前まで】やるべきことチェックリスト
オフィス移転の2ヶ月前から1ヶ月前までにやるべきことをまとめました。
チェックリスト | |
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□ | 移転の周知 |
□ | 取引先への挨拶の準備 |
□ | 備品や書類の住所変更作業 |
□ | 施主検査 |
オフィス移転に関して社内への周知と取引先への挨拶状の送付の準備を行います。また、印鑑や封筒、各種伝票類など備品や書類の変更作業や発注作業も必要です。内装工事が完了したら、施主検査を経て引き渡しを受けます。
移転の周知
社員の理解を得てスムーズにオフィス移転を進めるため、移転の2ヶ月前までを目安に社内に周知を図ります。
また、社内に向けてオフィス移転の社内マニュアルを作成し、移転説明会を開催します。社内マニュアルに記載する内容は、移転の目的や新オフィスのコンセプト、新オフィスのレイアウト、移転日までのスケジュールと当日のタイムスケジュール、引越し作業の役割分担、当日のクライアント対応の方法、トラブル発生時の問い合わせ先などです。
取引先への挨拶の準備
移転の2ヶ月程度前から、 各部門でオフィス移転の挨拶状を送付する取引先のリストアップを行い、プロジェクトチームや総務で取りまとめを行います。 取引先への挨拶状は移転までに間に合うように、1ヶ月前から2週間前までに届くように送付するのが基本です。メールで移転の挨拶を送る場合も、移転前までに送信できるように準備を進めましょう。
また、金融機関や各種加入団体、会員制サービス、定期購読物などの住所変更手続きについても確認が必要なため、リストアップしておきます。
備品や書類の住所変更作業
プロジェクトチームや総務で、社名入りの備品や書類のうち、住所が入っているものは、新オフィスの住所に変更した備品・書類の手配や変更の準備を行います。印鑑、名刺、社員証、封筒、契約書や請求書などの伝票類のほか、ホームページの会社概要などが挙げられます。
施主検査
新オフィスの工事が完了した後、設計業者や工事業者の立ち会いのもと、工事が図面通りに行われているか確認する施主検査を行います。不具合のある箇所の手直しが行われた後、再度、施主検査を行ってから、引き渡しを受けるという流れです。
【オフィス移転日〜1ヶ月以内】やるべきことチェックリスト
オフィス移転日から1ヶ月以内にやるべきことをまとめました。
チェックリスト | |
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□ | 移転当日の確認・立ち会い |
□ | 原状回復工事の確認・引き渡し |
□ | 社外向けの移転のお知らせ |
□ | 各種手続き |
オフィス移転の当日は現オフィス・新オフィスへの立ち会いを行います。また、新オフィスへの引越し後に現オフィスの原状回復工事を行い、引き渡します。このほかにはプレスリリースやホームページでの移転のお知らせ、公的な各種手続きが必要です。
移転当日の確認・立ち会い
現オフィスから新オフィスへの荷物の運搬や設置は、引越し業者に依頼するのが一般的ですが、荷物の搬出や搬入を行う際のトラブルを避けるため、プロジェクトチームの社員などを配置します。
現オフィスでは積み残し漏れがないかを確認し、新オフィスではあらかじめ作成しておいたリストをもとに、届いた荷物に漏れがないか確認し、破損などがないかについてもチェックします。また、現オフィス・新オフィスで引越し作業の前後にキズの有無を確認しておき、必要に応じて写真を撮って記録に残します。
原状回復工事の確認・引き渡し
新オフィスへの引越し作業の完了後に、速やかに現オフィスの原状回復工事が行われるように手配を行っておきます。原状回復工事の期間は1ヶ月程度が目安です。解約日までに滞りなく引き渡しが行えるように、適宜、原状回復工事を依頼した工事会社に進捗を確認します。
社外向けの移転のお知らせ
プロジェクトチームや総務、広報などが連携して、改めてホームページやメール、プレスリリースなどで、オフィス移転の告知を行います。メールの送信先は漏れがないようにあらかじめリストアップしておきます。
各種手続き
オフィスを移転にあたっては、法務局や税務署、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署、公共職業安定所、郵便局などへの各種手続きが必要です。あらかじめ手続きの期限を調べておき、滞りなく手続きを行うようにしましょう。
オフィスを移転した際に必要な手続き
オフィスを移転した際に必要な手続きを一覧にまとめました。このうち、消防署へは事前の届出が必要な書類もあります。また、郵便局へ提出する転居届は事前に転送開始希望日を記入して提出できます。
チェックリスト | |
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□ | 移転当日の確認・立ち会い |
□ | 原状回復工事の確認・引き渡し |
□ | 社外向けの移転のお知らせ |
□ | 各種手続き |
手続き先 | 手続きに必要な書類 | 申請期限 |
法務局 | 本店移転登記申請書 印鑑届出書 | 2週間以内 |
税務署 | 異動届出書 | 速やかに
1ヶ月以内 |
都道府県税事務所 | 法人設立・開設届出書 | 都道府県による |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 5日以内 |
労働基準監督署 | 労働保険名称、所在地等変更届 | 10日以内 |
公共職業安定所 | 雇用保険事業主事業所各種変更届 | 10日以内 (労働基準監督署への届出を行った後に行う) |
消防署 | 防火対象物使用開始届出書 | 使用を開始する7日前
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防火対象物工事等計画届出書 防火・防災管理者解任届出書 防火・防災管理者選任届出書 | 工事等を始める7日前 | |
郵便局 | 転居届 | ― |
まとめ
オフィスを移転するまでには、並行してやるべきことが多くあります。円滑にオフィス移転を行うためには、やるべきことをリストアップしてスケジュールを組み、プロジェクトチームで役割分担をして、順を追って取り組んでいくことが大切です。今回、掲載したチェックリストを参考に一つひとつ進めていきましょう。