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コラム

退去費用に納得いかないときの対処法!払わなくていい費用をわかりやすく解説

2023年10月2日

アパートやマンションなどの賃貸住宅を退去する際には、原状回復費用として退去費用が発生しますが、高額な費用を請求されてトラブルになるケースもあります。退去費用に納得いかない場合には、どうしたらよいのでしょうか。

借主が支払う必要のある退去費用や納得いかないときの対処法、退去費用を抑えるためのポイントなどを紹介していきます。

退去費用とは

退去費用とは、賃貸物件から退去するするときに必要となる費用を指し、原状回復費用などが該当します。民間の賃貸住宅の退去費用に関して、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、貸主と借主の原状回復費用に関する費用負担の範囲が示されています。

また、退去費用のうち、実際に支払う額は敷金との差額となり、敷金が退去費用を下回る場合には、差額が返金されます。

参考:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

退去時に負担する必要があるもの

借主は退去費用として、故意や過失、通常の生活の範囲を超えた使い方によるキズや汚れ、破損などの損傷を修繕するための原状回復費用を負担する必要があります。たとえば、「壁の落書き」「飲み物をこぼしてできた床のシミ」「たばこによる壁紙の変色」「ペットによる柱のキズや汚れ」「エアコンの水漏れを放置したことによる壁の腐食」「掃除を怠ったことによるガスレンジ置き場の油汚れ」「鍵をなくしたことによる交換費用」などが挙げられます。

また、賃貸借契約書に特約でハウスクリーニング費用や畳の表替え費用などが規定されているときは、費用負担が発生します。ただし、原則として、金額や負担の範囲が明確で暴利的ではないケースに限られます。

【借主が退去時に負担する必要があるもの】

  • 借主の故意や過失、通常の生活の範囲を超えた使い方による損傷の原状回復費用
  • 特約によるハウスクリーニング費用など

退去時に払わなくていいもの

借主は経年変化や通常の使用によるキズや汚れ、破損などの損傷を修繕するための原状回復費用は支払う必要がなく、貸主の負担となります。たとえば、「家具を置いていた場所の床の凹み」「エアコンを設置したことによるビス穴や跡」「テレビや冷蔵庫を設置していた背面の壁の黒ずみ」「下地の張り替えが不要な程度の壁の画鋲などによる穴」「窓からの光による壁紙の変色」通常の使用による設備の故障」などが該当します。

また、次の入居者のためのハウスクリーニング費用や畳の表替え費用、鍵の交換費用などは、原則として借主が負担する必要はありません。ただし、前述のように特約による定めがある場合には、借主の負担となります。

【退去時に払わなくてもいいもの】

  • 経年変化や通常の使用による損傷の原状回復費用(特約で定められているものを除く)

退去費用の相場

退去費用の相場を把握しておくと、退去時に請求されたときに妥当性がある金額なのか、判断する材料の一つになります。

間取り退去費用の相場
ワンルーム・1K・1DK・1LDK5万円
2K・2DK・2LDK8万円
3DK・3LDK・4K・4DK・4LDK9万円

退去費用は「ワンルーム・1K・1DK・1LDK」は5万円、「2K・2DK・2LDK」は8万円、「3DK・3LDK・4K・4DK・4LDK」は9万円が相場です。一般的に退去費用は部屋数が多いほど、あるいは専有面積が広いほど、退去費用は高くなります。

退去費用に納得いかないときの対処法

賃貸住宅を退去した後、貸主、または管理会社から敷金計算書が送付されてきます。敷金計算書は借主が負担する退去費用と内訳のほか、敷金との相殺による返還額、あるいは退去費用が敷金を超える場合には借主の支払い金額などが記載された書類です。

退去費用に納得いかない場合には、次に挙げる4つの対処法があります。

  • 契約内容を確認する
  • 貸主や管理会社に交渉する
  • 消費者センターへ相談をする
  • 法的手段をとる

まずは、ハウスクリーニング費用などの特約がついていないか、賃貸借契約書で契約内容を確認します。そして、契約内容を確認しても退去費用に納得いかない場合には、貸主や管理会社と交渉します。交渉に応じてもらえない場合には、消費者相談センターに相談するほか、民事調停などの法的手段をとるといった対処法もあります。

契約内容を確認する

借主が通常、負担する原状回復費用は、故意や過失、通常の生活の範囲を超えた使い方による損傷の修繕費用です。この原状回復費用の範囲を超えて退去費用を請求された場合は、賃貸借契約書に特約による取り決めがあるか確認します。

特約による取り決めがあるケースが多いのはハウスクリーニング費用で、エアコンのクリーニング費用や畳の表替え費用、襖の張り替え費用、鍵の交換費用などの負担が特約で定められているケースもあります。賃貸借契約書に相場に見合ったハウスクリーニング費用の負担に関する項目があるケースなど、特約で借主が負担する範囲が明確で妥当性がある場合には、借主の負担となります。

貸主や管理会社に交渉する

日焼けによって変色した壁紙の張り替え費用や、家具の設置によって凹んだ床の補修費用といった、借主が本来負担する必要がない項目が含まれているケースなど、退去費用に納得がいかない場合には、まずは貸主や管理会社と交渉します。

貸主や管理会社との交渉では、記録が残るようにメールで連絡をするのが望ましいです。退去費用のうち、納得がいかない項目を挙げて、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠として、支払い義務がないと考える理由を添えるなど、要望を伝えます。

消費者センターへ相談をする

貸主や管理会社が退去費用の交渉に応じない場合には、消費者センターに相談する方法があります。消費者センターとは、商品やサービスといった消費生活全般に関して無料で相談できる機関で、都道府県や市町村が設置しています。地方自治体によって、消費者センターや消費者生活センター、生活センター、生活情報センターなど、名称は異なります。

消費者センターでは、国家資格である消費生活相談員の有資格者や専門的な知識を持つ相談員からアドバイスを受けられます。また、相談員が必要に応じて事業者との間に入り、中立的な立場で交渉による解決を目指すこともあります。

参考:独立行政法人国民生活センター|全国の消費生活センター等

法的手段をとる

貸主や管理会社と交渉しても納得のいく結果が得られない場合には、法的手段をとることも選択肢となります。

民事調停手続きは、簡易裁判所で申立用紙を記入して手数料を納めるだけで、比較的に簡単に申し立てを行うことが可能です。民事調停手続きでは調停委員と裁判官とともに、貸主や管理会社との話し合いによる解決を目指します。

また、敷金の返還を求める場合で60万円以下の請求であれば、少額訴訟を起こす方法もあります。少額訴訟は1回の期日で審理を終えて、判決が出ます。少額訴訟は簡易裁判所で訴状の用紙に記入して手数料を納めるだけで、弁護士を立てずに訴えることができる手段です。

退去費用を抑えるためのポイント

退去費用を抑えるためには、入居時と退去時の物件の状態に関して、貸主・管理会社と借主の間で認識の相違が出ないように対策をとっておくことがポイントとなります。

入居時に物件の状態を確認しておく

入居時に既にあった汚れやキズ、破損などに関して、原状回復費用を請求されるのを避けるため、入居時の物件の状態を確認して記録に残しておきます。

入居時に各居室などの室内のキズの有無や設備の故障の有無などをチェックし、チェックリストにまとめます。キズや不具合が見つかった箇所はチェックリストに記入するとともに、写真を撮ってプリントアウトします。そして、チェックリストと写真を貸主や管理会社に提出して、キズや不具合のある箇所を報告しておきましょう。

退去の立会いをする

退去後の室内状況の確認は借主の立ち会いは不要とし、貸主と管理会社で実施するケースが少なくありません。しかし、借主も退去時の状況確認に立会いをすることもポイントです。借主が立ち会うことで、入居時のチェックリストなどをもとに、その場で借主の責任ではないキズや汚れを主張することができるため、原状回復費用を巡るトラブルを避けられます。

退去費用に関するよくある質問

退去費用に関するよくある質問をQ&Aとしてまとめました。

Q.退去費用を払わずに放置するとどうなる?

A:退去費用に納得いかないからといって支払わずに放置すると、まずは貸主や管理会社から借主に支払いを求める連絡がきます。そして、それでも支払わない場合には家賃保証会社、または連帯保証人に連絡が行きます。

家賃保証会社を利用している場合は、退去費用を立て替えて支払う代位弁済が行われますが、その後、借主に請求がきます。家賃保証会社から請求される金額には、退去費用に加えて手数料や利子の分の損害賠償金が含まれる点に注意が必要です。

あるいは家族や親戚などの連帯保証人に支払いが求める連絡が行くと、連帯保証人は借主と連帯して同等の債務を負っているため、多大な迷惑をかけることになります。また、連帯保証人も退去費用を支払わない場合には、裁判を起こされる可能性もあります。

Q.退去費用が払えない場合はどうする

A:退去費用が高額で支払いが難しい場合は、まずは貸主や管理会社に相談しましょう。退去費用の減額は難しくても、分割での支払いが認められる可能性があります。

また、退去費用を工面する方法として、家族や親戚からお金を借りる、カードローンを利用するといった手段が挙げられます。このほかには生活が苦しい場合には、自治体の社会福祉協議会が相談や貸付を行う公的な制度の生活福祉資金貸付制度を利用できる可能性もあります。ただし、退去費用ではなく、新居への転居費用の貸付です。

まとめ

退去費用に納得いかない場合にも、支払わずに放置をするのは避けるべきです。まずは貸主や管理会社と交渉を行い、交渉が決裂した場合には消費センターに相談するといった対処法をとるのが望ましいです。また、入居時に物件の状態を確認し、退去時には立会いをするなど、退去費用を抑えるためにできることをしておきましょう。