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コラム

退去費用が払えないときの対処法!払わないとどうなるかを解説

2023年10月2日

部屋でタバコを吸っていて壁紙が黄ばんでいるケースやペットを飼っているケースなどでは、高額な退去費用を請求されることがあります。退去費用が高い場合など、払えないときにはどうしたらよいのでしょうか。

退去費用を払わずに放置するリスクについて押さえたうえで、退去費用が払えない場合の対処法などを紹介していきます。

退去費用を払えず放置するとどうなる?

退去費用が高額なケースなどで払えずに放置していると、指定された期日を過ぎた段階で、まずは、貸主や管理会社から支払いの督促の連絡がきます。この時点で請求された金額を支払うか、交渉を行って調整した金額の支払いを行えば、問題ありません。

しかし、退去費用を払えないからと放置していると、家賃保証会社や連帯保証人に退去費用の請求の連絡がいきます。そして、家賃保証会社を利用している場合には、代位弁済が行われます。代位弁済とは支払いの義務がある債務者以外が債務の支払いを行い、債務者に請求する権利を得ることです。家賃保証会社は退去費用を代位弁済すると、借主に退去費用のほか、手数料、利子などの損害賠償金を請求するため、退去費用よりも高額な費用を支払う必要があります。また、信用情報にもキズが付く可能性があることも懸念される点です。

連帯保証人を立てている場合には、連帯保証人に請求がいきます。連帯保証人は借主と同等の義務を負うため、借主に代わって支払いを求められることから、多大な迷惑をかけることになります。連帯保証人に連絡がつかない、あるいは連帯保証人も退去費用を払わないといったケースでは、最終的には裁判を起こされ、不利になることが多いです。

退去費用が払えないときの対処法

退去費用が払えないからといって放置するのはリスクがあります。そうした事態を回避するには、次の対処法が挙げられます。

  • 分割にできないか相談する
  • 家族からお金を借りる
  • 友人からお金を借りる
  • 保険の契約者貸付制度を利用する
  • カードローンでお金を借りる
  • 国や公的機関からお金を借りる
  • アルバイトや副業をする

退去費用が払えない場合には、貸主や管理会社に分割払いにできないか相談し、難しい場合には家族に相談してみましょう。友人や生命保険の契約者貸付制度、カードローンなどを利用して、お金を借りることも選択肢となります。また、条件を満たす場合は、生活福祉資金貸付制度など公的機関からお金を借りられる可能性があります。退去日までに期間がある場合には、アルバイトや副業をすることも考えてみましょう。

分割にできないか相談する

退去費用を一度に払うのが難しくても、分割払いでなら支払いが可能な場合には、貸主や管理会社に相談してみましょう。長引いても払われないよりはよいという考えから、分割払いに応じてもらえる可能性があります。

分割払いに対応してもらえれば、周囲に知られることなく退去費用を払えることがメリットです。ただし、分割払いに応じてもらえるケースは少ないとされています。

家族からお金を借りる

貸主や管理会社に分割払いに応じてもらえない場合は、家族からお金を借りられないか相談する方法があります。家族が連帯保証人になっている場合には、退去費用を払わなければ請求がいくため、いずれにしても知られることになります。

家族は比較的お金を借りやすいことがメリットですが、退去費用を自分で用意できないことで信頼を損ねかねません。たとえ家族であっても、返済計画をきちんと立てて説明するようにしましょう。

友人からお金を借りる

分割払いや家族からお金を借りることが難しい場合には、友人からお金を借りることも選択肢となります。友人は家族と同様に借り入れにあたって特別な審査などがないといったメリットがある一方で、お金を借りることで信頼関係が崩れてしまう可能性があることがデメリットです。

友人からお金を借りる場合には借用書を書面でつくり、返済方法や返済期限を明記し、必ず取り決めを守るなど、誠意ある対応をすることが大切です。

保険の契約者貸付制度を利用する

生命保険の中でも、終身保険や学資保険、養老保険、個人年金保険といった解約返戻金があるタイプの保険に加入している場合には、契約者貸付制度を利用するという方法があります。契約者貸付制度は解約返戻金を担保にお金を借りられる制度で、多くの保険会社で導入しています。

契約者貸付制度を利用すると、保険を解約することなく、まとまったお金を低金利で借りて退去費用に充てられることがメリットです。自分の保険の解約返戻金が担保になっているため審査がなく、明確な返済期限も設けられていません。一方で、契約者貸付制度による借り入れがあるときに、満期保険金や死亡保険金を受け取ると、借入額が相殺されることデメリットといえます。また、返済をせずに利息が増えていき、借入額が解約返戻金を超えてしまうと、保険が解約となってしまうリスクがあります。

カードローンでお金を借りる

カードローンとは、利用限度額の範囲内で何度でもお金を借りられる個人向けの融資サービスです。カードローンは保証人を必要とせず、利用目的を問われないことから、退去費用の支払いに利用することもできます。一般的に銀行系カードローンは金利が安いのが特徴。消費者金融系カードローンは事業者によっては即日融資が可能など、審査がスピーディなのが特徴です。

カードローンは他人に知られることなく、比較的すぐに退去費用を用意できることがメリットです。ただし、審査があるため必ずしも借りられるとは限らず、利息が発生することもデメリットといえます。

国や公的機関からお金を借りる

収入が少ない場合や母子家庭・父子家庭など、条件を満たした場合には国や公的機関からのお金を借りられる可能性があります。公的な制度による借り入れは利息が低いことがメリットです。ただし、生活福祉資金貸付制度の総合支援資金の住宅入居費や母子父子寡婦福祉資金貸付の転宅資金は、新たな住居を借りるための費用の貸付制度であり、退去費用は該当しない可能性があります。また、要件が設けられているため、必ずしも借りられるとは限らない点がデメリットといえます。

【個人向けの公的融資制度一覧】

  • 生活福祉資金貸付制度(総合支援資金の住宅入居費)
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付(転宅資金)

アルバイトや副業をする

退去日までにある程度の期間がある場合には、アルバイトや副業でお金を稼いで、退去費用に充てられるように準備しておくという方法もあります。副業はクラウドソーシングサイトを利用するなど、ネットで完結できる仕事は比較的始めやすいです。

アルバイトや副業でお金を用意すると、借金をすることなく、まとまったお金を手にできることがメリットです。ただし、本業がある人は時間の確保が難しく、体力面などでの負担があることがデメリットになります。

そもそも退去費用とは

退去費用とは、借主が負担する原状回復費用や特約によるクリーニング費用のことを指します。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、貸主と借主の負担の範囲が細かく明記されています。

参考:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

退去時に負担する必要があるもの

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、退去時に借主が負担する必要があるものは、故意や過失、通常の生活での使用を超えた使い方による破損や汚損などの損害の原状回復費用です。

例)掃除や手入れを怠ったことによる設備の故障、借主の故意や過失による内装の汚れ、壁に絵を掛けるための釘穴、引越し作業でできたキズ、タバコのヤニによる壁紙の黄ばみ、ペットの飼育によるキズや臭い、不注意によって雨が吹きこんだことによる床のシミ など

このほかにも、賃貸借契約書において、ハウスクリーニング費用や畳の表替え費用などが特約で定められている場合には、借主の負担の範囲が明確で合理性があり、暴利的ではないといった要件を満たす場合に、借主の負担となります。

【借主が退去時に負担する必要があるもの】

  • 故意や過失、通常の生活での使用を超えた使い方による損害の原状回復費用
  • ハウスクリーニング費用などの特約によるもの

退去時に払わなくていいもの

退去時に借主が払わなくていいものは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、経年変化や通常の使用による損害の原状回復費用です。これらに関する原状回復費用は貸主の負担となります。

例)経年変化による内装や設備の汚れ、壁紙の自然な変色、次の入居者のための鍵の交換や内装の一新、地震などの災害によるガラスの破損 など

【退去時に払わなくてもいいもの】

  • 経年変化や通常の使用による損害の原状回復費用(特約を除く)

退去費用の相場

退去費用の相場は間取りや専有面積によって異なります。退去費用の相場を知っておくと、退去費用が妥当性のある金額か、判断するのに役立ちます。

間取り退去費用の相場
ワンルーム~1LDK5万円
2K~2LDK8万円
3DK~4LDK9万円

退去費用の相場は、「ワンルーム・1K・1DK・1LDK」は5万円、「2K・2DK・2LDKは8万円、「3DK・3LDK・4K・4DK・4LDK」です。ただし、居住年数が長くなると、退去費用が高くなる傾向があります。

退去費用が払えないほど高額で納得いかないときは

退去費用が払えないほど高額で納得いかないときには、そもそも借主に支払い義務がある費用のみを請求されているのか、確認することが大切です。

退去費用の内訳をもとに、借主が払う必要がないものが含まれている場合や、見積金額が高い場合には、まずは貸主や管理会社に相談しましょう。自治体が運営する消費者生活センターは無料で相談できますので、アドバイスをもらうのが得策です。

こうした方法では対処できない場合には法的手段を視野に入れます。民事調停は、裁判官や調停委員とともに話し合いによる解決を目指す方法で、簡易裁判所で申し込みを行います。あるいは敷金の返金を求める場合で60万円以下であれば、簡易裁判所に少額訴訟を申し立てるという方法もあります。

まとめ

退去費用が払えないからといって放置すると、家賃保証会社の代位弁済によって支払い額が増えたり、連帯保証人に迷惑がかかったり、裁判を起こされたりするリスクがあります。退去費用が払えない場合や高額で納得いかない場合には、まずは貸主や管理会社に相談することが大切です。