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コラム

解体業者の選び方|失敗しないためのポイントをわかりやすく解説

2023年10月23日

住宅やビルなどの解体工事を依頼するとき、どのような基準から解体業者を選んだらよいのでしょうか。建設工事の中でも、解体工事は建物などを破壊して撤去するという特徴があり、他の業種とは異なる難しさがあります。また、請求内容を巡るトラブルに見舞われないように注意したいところです。

解体業者選びで知っておきたい9つのポイントについて、詳しく紹介していきます。

解体業者の選び方

解体業者の選び方のポイントとして、以下の点が挙げられます。

  • 解体工事業の許可を保有しているか
  • 見積書や契約書を発行してくれるか
  • 自社施工であるか
  • 費用に関する説明が十分か
  • 進行がスムーズ
  • マニフェストを発行しているか
  • 損害賠償保険に加入しているか
  • 業者の所在地が明確か
  • 信頼できる担当者

建設業の許可(解体工事業)を取得しているか

建設業の許可を取得しているかどうかは、業者の信頼性に大きく関わります。一定規模以上の建設工事を請け負うには建設業の許可が必要です。また、建設業の許可を取得するには、経営の管理や専任の技術者の配置、誠実性などにおける許可要件を満たすことが必要なため、一定の信頼性があります。

建設業の許可は業種別許可制をとっているため、請け負う工事の種類ごとに許可を得る必要があります。建設業の許可には建築工事業や土木工事業、とび・土工・コンクリート工事業、石工事業など29業種があり、一定規模以上の解体工事を請け負うには、解体工事業の建設業の許可が必要です。

解体工事業を含め、建築一式工事以外の建設工事では、1件の請負代金の額が500万円未満の工事のみを請け負うのであれば、必ずしも建設業の許可は必要でありません。しかし、建設業の許可を取得していない業者は、小規模な工事のみを請け負っている業者ということになります。また、建設業の許可を取得するための審査を通過しているという信頼性からも、建設業の許可を解体工事業で取得している業者が望ましいといえます。

建設業の許可の取得の有無は、国土交通省の『建設業者・宅建業者等企業情報検索システム』で検索できます。

また、解体工事業や建築工事業、土木工事業のいずれかの建設業の許可を取得している業者を除き、解体工事業を営むには都道府県知事への解体工事業の登録が必要です。

見積書や契約書を発行してくれるか

見積書がわかりやすく記載され、契約書を締結する解体業者は、発注内容に齟齬が起きにくいため安心できます。

見積書の発行がなく、口頭で解体工事費用を提示されただけでは、金額に何が入っているのか不明瞭です。また、見積書があっても、「解体工事費用一式」といったように一括で記載されている場合には、他の業者との比較が難しいです。足場や養生シートなどの仮設工事費、解体工事費、廃材処分費、廃材運搬費といった項目ごとに、内訳や数量、単価が記載され、見積に含まれている工事の範囲が明確になっている業者の方が信頼できます。

また、見積書だけではなく、工事請負契約の締結にあたっては契約書の作成が必要です。建設業法第19条では、「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。』と定められています。契約書を締結せずに、工事に着工しようとする解体業者は注意が必要です。

引用:e-GOV法令検索|建設業法

自社施工であるか

解体業者の中には、実際には自社で解体工事を行わず、下請業者に丸投げをしている業者もあります。自社施工を行わずに丸投げしている業者に依頼すると、責任の所在が曖昧になるリスクがあります。また、下請業者は元請業者の手数料を引いた金額で受注しているため、発注した金額に見合った工事が行われない可能性があることも懸念されている点です。

こうした点から、そもそも建設業法において、一括丸投げは元請業者が発注者に書面で承諾を得た場合を除いて禁止されています。

たとえば、現地調査にきた担当者が、依頼した会社とは別の会社に所属しているといったケースなどでは、注意が必要です。

費用に関する説明が十分か

見積書を提示するだけではなく、費用に関する説明が十分にされているかという点もポイントです。

解体工事の支払い条件は規模にもよります。少額の工事では、工事の完了後にまとめて一括払いをするのが一般的です。工事費用が多額になる場合には着手金と工事完了後の残金の2回払いか、着手金、中間金、残金の3回払いのいずれかがとられることが多いです。また、2回払いや3回払いとなる場合は、工事費用を均等に割るのが一般的です。

工事費用の支払い方法は解体業者との話し合いで決めます。着手金の支払いの割合を多くしようとする業者は、資金繰りが上手くいっていない可能性があるため、注意が必要です。

また、現地調査を行っていても、実際に解体工事を行ってみなければわからないこともあるため、追加工事費用が発生する可能性があります。そのため、どういった理由でどの程度の追加費用がかかる可能性があるのか、事前に説明があると安心です。

進行がスムーズか

問い合わせから現地調査、見積書の提示までがスムーズに進み、質問への回答が速やかにくるような解体業者は、実際に解体工事を依頼したときに、工事が円滑に進むことが期待できます。

一方で連絡を入れても担当者からの返答がなかなか来ないような業者は、会社の体制に問題があるか、あるいは担当者が多忙で仕事が回っていない可能性があります。そうした業者に解体工事を依頼すると、工事が円滑に計画通り行われるのか、工事中に担当者と連絡がスムーズとれるのかといった点で懸念されます。

マニフェストを発行しているか

マニュフェストとは産業廃棄物管理票のことです。解体業者など産業廃棄物の排出事業者は、運搬や処分を委託する際にマニュフェストを発行して、最終処分までを確認することが義務付けられています。そのため、マニュフェストの発行を行っていない解体業者は、産業廃棄物の処理を適切に行っていない可能性があります。

産業廃棄物管理票は排出事業者と中間処理業者、最終処分場、運搬業者の間でやり取りが行われ、A票からE票まであります。また、解体業者に希望すると、工事の完了後にマニュフェストのコピーの交付を受け取ることができます。最終処分場で処理されたことを示す、E表のコピーの交付を受けるのが一般的です。

ただし、解体業者の中には適正に処理をしていても、マニュフェストの発行やコピーの交付が行われないケースがあり、主に2つのパターンが挙げられます。1つ目は、産業廃棄物の運搬や処分、最終処分などの許可をとり、解体から産業廃棄物の運搬、処分までを一貫して手掛けている業者です。自社で運搬や処分を行っているため、マニュフェストの発行の義務はありませんが、このパターンは稀です。2つ目は自社で廃棄物の保管場所を保有しているケースです。複数の現場の廃棄物をまとめて保管して処分場へ運搬するため、マニュフェストは物件ごとに発行されません。

損害賠償保険に加入しているか

解体工事は近隣の建物や隣接する道路を通行中の人や車両などの第三者に損害を与えるリスクがあるため、確実な補償が行われるように、解体業者の損害賠償保険への加入の有無も確認しておきたいポイントです。

ただし、解体工事は一般的な工事保険は補償の対象外であり、未加入の業者が多いとされる要因にもなっています。請負業者賠償責任保険などは、解体工事も基本的に対象になります。

業者の所在地が明確か

所在地が明確な解体業者でなければ、安心して解体工事を依頼することはできません。ホームページをチェックする、名刺に記載された電話番号にかけてみるといった確認方法があります。特に、マンションの一室を事務所としているケースでは、解体業者としての実態があるのか注意が必要です。

信頼できる担当者か

従業員は業者の体質を表わすため、信頼できる担当者がいる業者はと、信頼できる業者であることが期待できます。担当者の身だしなみや言葉遣いなどから、解体工事を依頼するに値する信頼できる業者なのか、判断材料の一つになります。担当者がわかりやすく誠意を持って対応してくれるかといった点もポイントです。

解体業者選びで失敗しないためのポイント

解体業者選びで失敗しないためには、複数の業者に見積もりを依頼するのがポイントです。3社以上の複数の業者に見積もりを依頼して比較することで、相場感がつかめます。

ただし、安ければよいとは限らず、極端に安すぎる業者は工事が適正に行われず、管理状態が杜撰になるなど、質が懸念されます。あるいは、まったく説明されていない追加費用を請求されることも危惧される点です。

まとめ

解体業者中でも、解体工事業で建設業の許可を取得し、マニュフェストの発行を行っている業者は、産業廃棄物の処理を適切に行っている業者であり、信頼性もあります。また、見積書などのやり取りを通じて、担当者とスムーズにやり取りができたかという点も大切です。金額だけにとらわれるのではなく、信頼できる業者を選びましょう。