小規模オフィスのレイアウトパターン!スペースを有効活用するコツを解説
2024年1月10日
小規模オフィスのレイアウトは、限られたスペースをいかに効率よく使うかという点がポイントになります。オフィスのレイアウトによっては、従業員が働きにくいと感じるなど、業務効率に大きく影響するためです。
小規模オフィスとは
オフィスのレイアウトを進めていく前に確認しておくべきこととして、コンセプトとゾーニングが挙げられます。
オフィスのレイアウトを行う前に確認しておくべきこと
オフィスのレイアウトを進めていく前に確認しておくべきこととして、コンセプトとゾーニングが挙げられます。
コンセプトを決める
オフィスのレイアウトを検討する前に、コンセプトを決めておきます。オフィスのコンセプトとは、「どのような働き方ができるオフィスにするか」ということ。たとえば、「社員同士のコミュニケーションが活発になるオフィス」「自分の業務に集中して取り組めるオフィス」といった例が挙げられます。
コンセプトを考えずにレイアウトを決めてしまうと、「仕事がしにくい」「かっこいいけれども自社の働き方に合っていない」といった声が上がるなど、業務効率の低下につながる恐れがあります。
事業内容、従業員の人数や仕事内容、業務の習熟度合い、現在のオフィスでの課題などをもとに、どのような働き方ができるオフィスが理想的なのか、コンセプトを検討しましょう。
基準寸法をもとにゾーニングする
オフィスのコンセプトが決まったら、具体的なレイアウトを決める前に、基準寸法をもとにしたゾーニングを行います。小規模オフィスでは限られたスペースを有効に使うため、スペース配分を効率よく行うことが重要なためです。
ゾーニングとは、エントランスやワークスペース、ミーティングスペース、リフレッシュスペースなど、オフィスに必要なスペースを用途や機能ごとに区分けすることをいいます。デスクの大きさや通路幅などの標準的な寸法である基準寸法を把握し、各スペースに必要な広さを確保します。
小規模オフィスで必要なスペースを確保するには、ミーティングスペースとリフレッシュスペースを兼ねるなど、1つのスペースに複数の機能を持たせる方法もあります。
小規模オフィスのレイアウトパターン
規模オフィスの主なレイアウトパターンには次の4つがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
同向型 | 個人の業務に集中しやすい。 | コミュニケーションを取りにくい。 |
対向型 | 部署・チーム内でのコミュニケーションを取りやすい。 | プライバシーが損なわれやすい。集中しにくい。 |
背面型 | 集中して業務に取り組みやすく、コミュニケーションも取りやすい。 | 進捗管理がしにくく、広いスペースが必要。 |
ブース型 | 個人の業務に集中しやすい。 | ミュニケーションが取りにくく、広いスペースが必要でコストも掛かる。 |
同向型は同じ方向を向けてデスクを配置するレイアウト。他の人の視線が気になりにくく、個人の業務に集中しやすい点がメリットですが、横の席の人を除くと、コミュニケーションを取りにくいというデメリットがあります。対向型は、部署やチームごとに向き合わせでデスクを配置。部署やチーム内でのコミュニケーションが取りやすいですが、視線が気になるなどプライバシーが損なわれやすく、集中しにくい点がデメリットです。
背面型は背中合わせでデスクを配置します。集中して業務に取り組みやすく、振り向いて背後の席の人とも話せるため、コミュニケーションも取りやすいといったメリットがあります。ただし、管理職などが業務の進捗状況を把握しにくいほか、広いスペースを必要とします。
ブース型はパーテーションやパネルでブースを設けるため、個人の業務に集中しやすいことがメリットです。一方でコミュニケーションが取りにくく、広いスペースが必要で、他のレイアウトよりもコストが掛かる点がデメリットに挙げられます。
同向型
同向型はスクール型とも呼ばれ、学校のように同じ方向にデスクを配置するレイアウトです。
同向型は、正面の状況を把握しやすく、管理職を後ろの席に配置すると、全体を管理しやすいのが特徴です。また、会議室などに移動することなく、ホワイトボードやプロジェクターなどを使って、研修を行うことができます。
同向型には、すべての従業員が同じ方向を向いて業務を行うため、視線が交わりにくく、個人の業務に集中しやすい点がメリットです。一方で横の席の人以外とはコミュニケーションが取りにくい点がデメリットといえます。
同向型はコールセンターのように処理方法が決まっている定型業務や、窓口業務のある不動産会社や銀行、保険代理店などに適したレイアウトです。
【同向型のレイアウトがおすすめの業種】
- 各種コールセンター
- 不動産業
- 銀行・保険などの金融業
対向型
対向型は島型とも呼ばれ、デスクを向い合わせにして島のように配置するレイアウトです。
対向型は最も一般的なレイアウトで、通常、部署やチームごとに島をつくります。ミーティングスペースに移動しなくても部署内での打ち合わせがしやすく、ホワイトボードなどを使って部署全体で会議を開くこともできます。
対向型は、部署やチーム内でのコミュニケーションがとりやすいことがメリットです。ただし、対向型は周囲からの視線が気になりやすいことから、プライバシーが損なわれやすく、集中しにくいといったデメリットがあります。そこで、プライバシーを確保するには、各デスクにローパーテーションをつけるといった方法があります。また、他の部署やチームとのコミュニケーションが取りにくいことも難点です。
対向型は部署やチームで業務に取り組むケースに向いたレイアウトのため、様々な業種の営業部門や管理部門などで用いられています。
【対向型のレイアウトがおすすめの業種】
- 幅広い業種の営業部門や管理部門
背面型
背面型は、従業員が背中合わせになるようにデスクを配置するレイアウトです。
背面型は壁やパーテーションを向いて仕事をしますが、左右の席だけではなく、振り向けば背後の席の人ともコミュニケーションを取りやすいのが特徴です。通路にテーブルやホワイトボードなどを用意しておくと、部署やチームでの打ち合わせがしやすくなります。
背面型は他の人の視線が気になりにくいことから、個人での業務に集中して取り組みやすく、コミュニケーションのとりやすさから、共同で行う作業もしやすいという両面があることがメリットです。一方で、他の部署やチームとはコミュニケーションが取りにくいほか、管理職やチームリーダーが業務の進捗を把握しにくいことがデメリットに挙げられます。また、背面型のレイアウトは広いスペースを必要とします。
背面型はSEやプログラマー、WEBデザイナー、設計士、あるいは研究職など、クリエイティブな仕事や集中力が求められる仕事に向いたレイアウトです。
【背面型のレイアウトがおすすめの業種】
- IT・広告・出版・ゲーム関連(SE、プログラマー、デザイナーのほか、クリエイティブ職)
- メーカー(研究職・開発職)
- 設計事務所
ブース型
ブース型はパネルやパーテーションを設置して、一人ひとりのデスクを仕切るレイアウトです。
ブース型は他のからの視線を遮ることができるのが特徴です。周囲の環境を気にすることなく、集中して業務に打ちこめるため、作業効率がよい、アイデアが浮かびやすいといったメリットがあります。
一方で、ブース型はコミュニケーションを取りにくいことがデメリットです。そのため、何かトラブルが発生していたり、業務の進捗が遅れたりしていても、周囲が気づきにくいことが難点です。ブース型でコミュニケーションを取りやすくするには、背面型レイアウトと組み合わせるといった方法があります。また、ブース型は他のレイアウトよりも、広いスペースが必要で費用が掛かる点もデメリットといえます。
ブース型はSEやプログラマー、クリエイターといった集中力が必要とされ、個人で取り組む業務に向いています。また、経理部門や総務部門の中でも、個人情報や社外秘を取り扱う従業員にも適したレイアウトです。
【ブース型のレイアウトがおすすめの業種】
- IT・広告・出版・ゲーム関連(SE、プログラマー、デザイナーのほか、クリエイティブ職)
- 幅広い業種の経理部門や人事部門
小規模オフィスのスペースを有効活用するコツ
小規模オフィスのスペースを有効活用するには、次に挙げる3つのポイントがあります。
- 動線を意識する
- 収納スペースを工夫する
- 全体に統一感を持たせる
動線を意識する
小規模オフィスのレイアウトを検討する際には、人が動く経路である動線を意識することが大切です。小規模オフィスでは、限られた広さに様々な機能を持つスペースを配置していく必要があるためです。
そこで、ゾーニングを決める際には、どの位置にどのスペースを配置すると業務を行いやすいか、動線を考慮して考えていきます。たとえば、コピー機や文房具などの備品棚はメインとなる通路の近く設けるなど、多くの従業員が使いやすい場所に配置します。あるいは、打ち合わせを頻繁に行う部署をミーティングスペースの近くに配置すると、スムーズに移動できます。
収納スペースを工夫する
小規模オフィスでは広さの問題から、収納スペースが不足してしまいがちなため、工夫して設ける必要があります。収納が不足して書類や備品が整理整頓されていない状態では、業務に支障をきたしてしまいます。
たとえば、デッドスペースを活かして、壁側のデスクの上部に収納棚を設置します。あるいは、部門や他の用途のスペースとの仕切りとして、パーテーションの代わりに収納棚を設置するといった方法もあります。
全体に統一感を持たせる
小規模オフィスでは全体として、内装と家具のデザインやカラーに統一感を持たせることもコツです。狭い空間にテイストの異なる家具を置いていたり、内装や家具に多くのカラーを使っていたりすると、ちぐはぐでまとまりのない印象となります。その結果、従業員が落ち着いて業務に取り組みにくい、あるいは来社した取引先の人に良い印象を与えないといったことが懸念されます。
小規模オフィスは配置できる家具が少ないため、統一感を持たせやすいという利点があります。「黒を基調としたかっこいいオフィスにする」「楽しくコミュニケーションがとれるようなポップな色使いやデザインの家具を選ぶ」など、コンセプトや方向性を決めて家具などを選定します。内装や家具に使う色数を抑えることもポイントです。
まとめ
小規模オフィスのレイアウトパターンには、同向型や対向型、背面型、ブース型などがあり、業種や部門による向き・不向きがあります。まずはコンセプトを決めた後、動線を考慮してゾーンニングを行い、スペースを有効に使った快適に仕事ができるオフィス空間を目指しましょう。