テナント退去時のトラブル事例|原状回復や敷金返還を滞りなく進めるには
2024年3月4日
テナント退去は、引っ越しの中でも特にトラブルが発生しやすいタイミングです。原状回復や敷金返還など、様々な問題が潜んでいます。
この記事では、テナント退去時のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな退去を実現するためのポイントを分かりやすく解説します。
テナント退去時に起こりがちなトラブル事例
テナント退去は、引っ越しの中でも特にトラブルが発生しやすいタイミングです。ここでは、代表的なトラブル事例を5つご紹介します。
【テナント退去にともなうトラブル事例】
- 退去予告通知を怠ったまま進めてしまった
- 原状回復工事がどこまで必要かわからない
- 口頭契約で認識のずれが生じている
- 敷金がほとんど返済されない
- 退去時の原状回復費用が高額になった
退去予告通知を怠ったまま進めてしまった
賃貸借契約書には、退去する前に一定期間前に家主へ通知する「退去予告」という義務が定められています。これを怠ると、契約期間満了後も賃料が発生し続ける可能性があります。
原状回復工事がどこまで必要かわからない
退去時には、物件を借りる前の状態に戻す「原状回復」が義務付けられています。しかし、どこまでの範囲が原状回復に含まれるのかは、契約書や入居時の状況によって曖昧な場合があります。
口頭契約で認識のずれが生じている
退去条件や原状回復費用などについて、口頭でのみ確認し、書面で残していない場合、後々認識のずれが生じ、トラブルに発展する可能性があります。
敷金がほとんど返済されない
原状回復費用を差し引いた後の敷金が、ほとんど返済されないことがあります。高額な原状回復費用が請求されたり、不当な項目が計上されたりしている可能性があります。
退去時の原状回復費用が高額になった
退去時の原状回復費用が、予想以上に高額になることがあります。見積もりを取らずに業者に依頼したり、必要以上に修繕を要求されたりしている可能性があります。
これらのトラブルは、事前にしっかりと確認しておくことで防ぐことができます。次の章では、トラブルを未然に防ぐための確認事項について説明します。
テナント退去でトラブルに遭わないための確認事項
民間賃貸住宅の場合は、国土交通省により「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というガイドラインが定められていますが、店舗やオフィス等のテナントの場合は定められていません。
テナント退去でトラブルに遭わないためには、賃貸借契約・特約の確認が必要で、特に以下の事項の確認が重要となります。
【テナント退去時の確認事項】
- テナント退去の予告期間はいつまでか
- テナント退去の告知方法は何にするか
- 原状回復義務はあるか・どの範囲か
- 敷金の返済額はいくらか・返済期日はいつか
テナント退去の予告期間はいつまでか
テナント退去の予告期間は、賃貸借契約書に記載されています。一般的な目安は、1ヶ月~3ヶ月前です。
テナント退去の予告期間について特に注意すべき点は以下の通りです。
- 賃貸借契約書に記載された予告期間を必ず守る必要があります。
- 予告期間を過ぎると、契約期間満了まで賃料が発生し続ける可能性があります。
- 予告期間は例えば、3ヶ月の予告期間の場合、退去予定日の3ヶ月前までに通知する必要があります。
- 予告は、書面で行うのが一般的です。内容証明郵便で送ると、確実に通知したことを証明できます。
- 賃貸借契約書によっては、解約違約金が設定されている場合があります。解約違約金は、契約期間満了前に解約した場合に支払う違約金です。
テナント退去の予告期間は、契約によって異なるため、事前に賃貸借契約書を確認することが重要です。
テナント退去の告知方法は何にするか
テナント退去の告知方法は、大きく2つあります。
- 書類による告知
- 口頭による告知
書類による告知は、内容証明郵便で送ることをおすすめします。内容証明郵便は、郵便局が発送と配達の記録を残してくれるため、確実に通知したことを証明できます。
口頭による告知は、手軽に行えるというメリットがありますが、後から言った言わないなどのトラブルにつながりやすいというデメリットがあります。
どちらの方法を選ぶ場合でも、事前に賃貸借契約書に記載されている告知方法を確認することが重要です。
原状回復義務はあるか・どの範囲か
- 原状回復義務の有無や原状回復工事の範囲について確認する重要性、どうやって確認するか詳しく説明
- 原状回復義務の有無や原状回復工事の範囲を確認するうえで特に注意することを説明
敷金の返済額はいくらか・返済期日はいつか
テナント退去時に発生するトラブルの中でも、特に多いのが原状回復に関するものです。
原状回復義務とは、借主が賃貸物件を退去する際に、借りる前の状態に戻す義務です。しかし、どの範囲まで原状回復が必要なのかは、明確に定められていません。
原状回復義務の有無や原状回復工事の範囲を確認するうえで特に注意すること
以下の点に注意する必要があります。
- 賃貸借契約書や特約の内容を、よく理解する
- 不明点は、家主や管理会社に確認する
- 口頭での確認は避け、書面で確認する
テナント退去時のトラブルに遭ったときの相談先
テナント退去時のトラブルに遭ったときの相談先
テナント退去時には、様々なトラブルが発生する可能性があります。トラブルに遭ったときは、一人で抱え込まず、第三者機関に相談することをおすすめします。
相談できる機関
- 国民生活センター:全国に相談窓口があり、電話やメールで相談できます。
- 物件の仲介業者:相談できるかどうかは、個々の仲介業者によって異なります。
- 弁護士会:弁護士に相談するには、事前に予約が必要です。
- 法テラス:一定の条件を満たすと、無料または低額で弁護士に相談できます。
- 消費者センター:全国に相談窓口があり、電話やメールで相談できます。
1. 国民生活センター
国民生活センターは、消費者トラブルに関する相談窓口です。テナント退去時のトラブルについても、相談を受け付けています。
国民生活センター
2. 物件の仲介業者
物件の仲介業者は、賃貸借契約の締結に際して、借主と貸主双方の代理人として業務を行います。そのため、テナント退去時のトラブルについても、相談できる可能性があります。
3. 弁護士会
弁護士会は、弁護士の職務に関する事務を行う団体です。弁護士に相談したい場合は、弁護士会に問い合わせて紹介してもらうことができます。
日本弁護士連合会
4. 法テラス
法テラスは、法律問題に関する相談窓口です。費用を抑えて弁護士に相談することができます。
5. 消費者センター
消費者センターは、消費者トラブルに関する相談窓口です。テナント退去時のトラブルについても、相談を受け付けています。