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コラム

諸経費とは?内訳や相場、見積書の書き方、諸経費との違いを簡単に解説

2023年3月28日

新築住宅工事の見積書にある「諸経費」とは何を指す経費なのかと、疑問に感じたことのある方も多いでしょう。諸経費は、基本的に会社運営のために必要な費用という意味です。そのため人件費や移動費、通信費など工事に直接関係のない費用のことまでを幅広い費用を指しています。

本記事では、諸経費とは具体的に何の費用のことなのか。「諸経費」と「諸費用」の違いや相場、見積書への書き方など基本から応用まで詳しくご紹介します。

諸経費とは

工事現場における諸経費とは、「現場経費」と「一般管理費」を合わせたものです。現場経費は、その現場を完成させるのに必要な費用で、現場作業員の人件費や材料費、事務用品費などがあります。一般管理費は、工事を請け負う企業を運営するのに必要な経費を指します。具体的には、現場にはいない本社従業員の人件費や施設維持管理費、通信費などがあります。

諸経費と諸費用の違い

「諸経費」とよく似た言葉に「諸費用」があります。
諸経費が工事そのものに付随する費用を指すのと異なり、諸費用は工事に伴って発生する費用です。諸経費は現場作業員などの人件費や材料費、交通・通信費用などであるのに対し、諸費用は「地鎮祭時での神主の祈祷料」や「各種登記の費用」を指します。

工事を依頼した業者に支払う費用か、最終的に業者以外の人が受け取る費用かで考えるとわかりやすいでしょう。

諸経費の内訳

では具体的に諸経費の内訳にはどのような費用が含まれているのでしょうか。一般的な諸経費の内訳についてご紹介します。

諸経費は「現場経費」「一般管理費」の2種類に分かれています。一体何が違うのか、経費として含まれる項目など見ていきましょう。

現場経費

現場経費とは、工事の現場で必要になる費用を指すものです。例を挙げると「人件費」や「交通・通信費」、「工事保険における保険料」などが該当します。

工事費用の見積書には、現場経費のほかに「直接工事費」と呼ばれるものがあり、工事に直接かかる費用を指しています。そのため、「現場経費」とは、直接工事費以外の工事現場におけるすべての費用のことを指します。以下は現場経費として計上できる費用の一覧です。

現場経費一覧

  • 労務管理費
  • 租税公課
  • 保険料
  • 従業員給料手当
  • 施工図等作成費
  • 退職金
  • 法定福利費
  • 福利厚生費
  • 事務用品費
  • 通信交通費
  • 補償費
  • その他:会議費、式典費など。上記費用に当てはまらないもの

一般管理費

一般管理費は、工事現場や現場の費用とは関係なく、企業を運営するうえで必要になる費用のことです。工事現場に関係ないことから、日々発生する費用と言い換えることもできます。

具体例では、「現場にはいない管理部門等の人件費」や「水道光熱費」、「役員報酬」、「企業の事務所における維持費」などが含まれます。工事に直接関係ないとはいえ、一般管理費は企業を運営するうえで重要な費用です。自治体などが発注する工事などの入札において、費用を不正に抑えて指名されるのを防ぐため、一般管理費は「一般管理費等率」を用い一定割合以上にしなければならないと国土交通省が定めています。

割合基準は以下のとおりです

  • 建築工事:工事原価500万以下の場合17.24%
  • 電気設備工事:工事原価500万以下の場合17.49%
  • 機械設備工事:工事原価500万以下の場合16.68%

諸経費が会社によって変動する理由

諸経費の内訳について理解したところで、次に気になるのはなぜ諸経費が会社によって異なるのかといった点ではないでしょうか。

諸経費が会社によって変動する大きな理由は、会社の規模や現場の運営指針によって必要となる額が異なるからです。諸経費の「一般管理費」は一定の比率が定められていますが、比率を厳守したうえで比率以上の金額を付けなければなりません。定められた比率以上であれば、どの程度まで比率を上げるかは会社に一任されています。

また、現場経費においては、現場の安全性や効率を上げるためには必要な設備が多くなります。設備や必要なものが多くなれば、その分諸経費の額も上がることになります。よって、会社によって額が異なっていたとしても、基本は必要以上に請求されているわけではなく、各会社の考え方や安全性へのこだわりなどで変わってくるといえます。

諸経費の相場

一般的に諸経費の相場は、工事費用全体の5~10%程度だといわれています。500万円の工事費用の場合は、およそ25万から50万程度です。しかし、あくまで相場であり、会社によっては20%になるケースもあり、工事を請け負う会社によって考え方が異なります。

見積書を見て、「どうして諸経費がこんなに高くなるのか」と感じた場合は、遠慮をせずに内訳を聞いてみると良いでしょう。工事を請け負う会社も、最初から顧客に諸経費の内訳を説明できるよう準備しておくことが大切です。なかには諸経費を不当に、引き上げて利益を得ようと考える会社もありますが、多くの場合は適切な理由があると考えられます。

工事現場作業員の安全性をしっかり考えているからこそ、諸経費が高くなる。質の高い工事を行うために、腕の立つ職人さんへの人件費がかさんでしまったなど明確な理由が必要です。諸経費は工事に必要な費用なので、安価であることが必ずしも良い会社であるとはいえないのです。

諸経費の見積書への書き方

諸経費を見積書に書く際にはどのような書き方になるのでしょうか。内訳をしっかり書くべきなのか、そもそも書き方に決まりはあるのかなど確認しましょう。

諸経費を見積書に書く際には、内訳を提示せず「諸経費として○○万円」など、一括で記載する方法が一般的です。理由としては、内訳をすべて書き出そうとすると、非常に項目が多くなります。さらには、かかった費用をその度に積算することも難しいことから、経験則や一定の比率で「諸経費」と記載するケースが多いことが挙げられます。

経理担当者の負担を軽減するための一括記載ですが、顧客側から見ると不透明な経費に見えて不安に感じてしまいます。不安を解消するためにも。見積書を提示すると同時に、おおよその内訳を伝えることは必須です。何にどのくらいかかるのか、概要を説明できるように準備しておきましょう。

まとめ

諸経費とは、「現場経費」と「一般管理費」を合わせた費用のことでした。「工事そのものにかかる費用」と、「企業を運営していくうえで必要になる経費」の2種類を指すと説明してきました。諸経費が含む項目は非常に多いので、見積書を一覧しただけでは、顧客は費用の内訳を想像することができません。

見積書の作成時には一括で「諸経費」と記したとしても、顧客側から内訳を聞かれた際には、何にどのくらい費用がかかるのか明確に答えられるよう準備が必要です。答えを返せないと、「不透明な費用を上乗せされた」と捉えられ、信頼を失いかねません。諸経費は工事に必要な費用なので、安価であることが必ずしも良い会社企業であるとはいえません。しっかりと計算して準備したうえで臨みましょう。