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コラム

内装工事の耐用年数とは|考え方や減価償却について解説

2023年4月19日

店舗の開店などに際して、行われることも多い内装工事。実は、内装工事にかかる費用は開業費ではなく「減価償却される資産」に該当することをご存知ですか。

今回は、内装工事の減価償却を理解する上で知っておくべき「耐用年数」について解説。建物、建物附属設備、店舗内装用の器具・備品ごとの耐用年数を表でご確認いただけます。

店舗などの内装工事費用は減価償却できる

店舗などで実施される内装工事費用は、減価償却の対象です。それでは、そもそも減価償却はどのような目的で実施され、なぜ必要なのでしょうか。

はじめに、意義について確認しておきましょう。

減価償却の目的

減価償却とは、 会計処理の方法の1つです。

具体的には、長期間使用できる資産の取得費用を、取得時に一括で経費計上するのではなく、複数年にわたって費用計上します。

なお、減価償却の対象となる資産は、建物や車両といった「10万円以上の耐久性のある事業用資産」です。

そんな減価償却の目的は「費用と収益を正確に対応させるため」ということができます。

減価償却が必要な理由

減価償却は「費用と収益を正確に対応させる」ために必要です。

長期間使用できる事業用資産の場合、費用と収益の発生するタイミングは一致しないケースも多いです。

仮に、長期間使用できる事業用資産を取得時に一括で経費計上すると、資産の取得によって、収益にどのような影響を与えたかを反映させることができなくなります。

なお、法人は資産の減価償却が任意なのに対して、個人事業主の場合は原則的に「義務」となっています。

減価償却に必要となる「耐用年数」とは

長期間使用できる資産の取得費用は、複数年にわたって費用計上しますが、具体的な期間は資産の「耐用年数」によって決定されます。

内装工事費も減価償却資産として耐用年数が設定され、毎年一定額を償却する必要があります。

建物附属設備は耐用年数適用の内装工事とは別

内装工事の内容は「建物」「建物附属設備」に大別されます。

通常、内装工事には、建物の耐用年数が適用されますが、 建物附属設備には建物とは別の耐用年数が設備ごとに適用されます。

なお、建物付属設備には以下のようなものがあります。

  • アーケード・日よけ
  • 設備店用簡易装備
  • 照明などの電気設備
  • 給排水・衛生設備
  • ガス設備

内装工事の耐用年数の考え方

内部工事の耐用年数は、以下のようにケースごとに異なりますので、1つずつ詳細を見ていきましょう。

  • 内部造作物は造作物を設置した建物の耐用年数を適用
  • 自社所有の中古物件の耐用年数は取得時期で耐用年数が変わる
  • 賃貸物件の耐用年数はケースによって異なる

内部造作物は造作物を設置した建物の耐用年数を適用

内部造作物とは、壁や天井の内装、建具、キッチン、トイレなど、建物内部に設置された設備や備品のことを指します。

内部造作物に係る減価償却については、建物本体と同じく、建物の耐用年数を適用することが一般的です。これは、内部造作物が建物と一体となっているため、建物本体と同じく、建物とともに劣化や価値減少を起こすからです。

自社所有の中古物件の耐用年数は取得時期で耐用年数が変わる

自社所有の中古物件は、建物の耐用年数の残りがそのまま適用されるわけではありません。

例えば「法定耐用年数・40年、経過年数・25年の中古物件」のケースでは、建物の耐用年数の残りが15年に思えますが、実際は異なります。

中古建物の耐用年数は「(法定耐用年数 – 経過年数) + (経過年数 × 0.2)」の計算で求められ、上記例の耐用年数の残りは「20年」となります。

賃貸物件の耐用年数はケースによって異なる

賃貸物件で内装工事をした場合、造作の種類・用途・使用材質ほか建物の耐用年数などを考慮した「合理的な見積もり」に基づいて耐用年数が算出されます。

具体的には、契約更新に支障がなく、十分に建物の耐用年数も残っていれば 、一般的には10年〜15年程度を合理的な耐用年数として設定します。

一方、賃貸期間が定められ、期間の更新ができない契約などの場合は、賃借期間がそのまま耐用年数として適用されます。

内装工事の耐用年数を表で紹介

ここからは、内装工事の具体的な耐用年数を「建物」「建物付属設備」「店舗内装用の器具・備品類」ごとに、表でご紹介します。

建物の耐用年数

建物の耐用年数は以下表の通りです。

建物の構造耐用年数
木造・合成樹脂造店舗・住宅用:22年
飲食店用:20年
事務所用:24年
木骨モルタル造店舗・住宅用:20年
飲食店用:19年
事務所用:22年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・木造店舗:39年
住宅用:47年
飲食店用:41年(延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの:31年)事務所用:50年
れんが造・石造・ブロック造店舗・住宅用:38年
飲食店用:38年
事務所用:41年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

内部造作物は上記表の耐用年数が適用されることになります。上表を見ると、木造・合成樹脂や木骨モルタルよりも、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造やれんが造・石造・ブロック造の耐用年数が1.5〜2倍程度あることが分かります。

建物附属設備の耐用年数

建物附属設備の耐用年数は以下表の通りです。

建物附属設備耐用年数
アーケード・日よけ設備主として金属製のもの:15年
その他:8年
店用簡易設備3年
給排水・衛生設備、ガス設備15年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

一見、内部造作物に見えるものもありますが、 それらとは異なる耐用年数が適用される点にご注意ください。

店舗内装用の器具・備品類の耐用年数

店舗内装用の器具・備品類の耐用年数は以下表の通りです。

店舗内装用の器具・備品類耐用年数
家具、電気機器、ガス機器、家庭用品金属製の事務机、事務いす、キャビネット:15年
その他の事務机、事務いす、キャビネット:8年
時計、試験機器、測定機器時計:10年
度量衡器、試験・測定機器:5年
理容・美容機器5年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

上表のような品物は、内装用で大きなものであっても、内部操作物や建物付属部品とは見なされません。

まとめ

店舗などに施す内装工事の費用は「減価償却資産」の扱いとなり、 耐用年数に応じて減価償却することが可能です。

内部造作物については建物の耐用年数が適用されますが、それ以外は建物付属設備や器具・備品類の扱いとなり、 耐用年数も変わってきます。

また、中古物件や賃貸物件は、自己所有の新築物件と比較して異なる耐用年数となるため、間違えないようにご注意ください。