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コラム

地盤補強工事の費用|地盤調査・地盤改良の費用がわかるタイミングと実施時の注意点

2023年5月31日

家を建てる際に、建築予定地の地盤が軟弱な場合には地盤補強工事をして家の重みに耐えられる強い地盤にしなければなりません。そのため、土地代や建築費用とは別に地盤補強工事の費用も予算として準備しておく必要があります。実際どのくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは地盤補強工事の種類とそれぞれの費用相場について紹介します。

地盤補強工事とは

地盤補強工事とは地盤が軟弱な場合に、家などの重量物が原因で地盤が沈んでしまう現象(不同沈下)が起きないように地盤を強化する工事のことを言います。事前に地盤調査により地盤の状態を調査し、その結果をもとにどの様な補強工事を施すか決定します。

地盤調査とは建物を建てる前にその土地の地盤がどの程度の重さや沈下に対して抵抗力があるのかを調べることを言います。

2000年の法改正によって新築工事の際には地盤調査を行うことが一部の例外を除き事実上義務化されています。地盤調査を行わなかった場合には、住宅瑕疵担保責任保険に加入することができません。
瑕疵担保保険とは、引き渡し後10年以内に住宅に欠陥や傷などの瑕疵が見つかった場合に保険金が支払われ、補修費用を賄えるものです。

地盤補強工事が必要な土地

地盤調査の結果、地盤が十分強いとわかればそのまま家を建てることができますが、軟弱だと診断された場合には補強工事(地盤改良)を行わなければなりません。地盤が軟弱だった場合、不同沈下が起こったり、家が傾いてしまうなど、命の危険に直面する恐れがあるからです。

それではどの様な土地が地盤が軟弱で地盤補強工事が必要と判断されやすいのでしょうか。以下に特徴を紹介します。

【地盤補強工事が必要になりやすい土地の特徴】

  • 河川や海の近く
  • 水害が多発する地域
  • 埋立地
  • 傾斜のある盛土

含水率が高くなりやすい地盤や、人工で踏み固めている地盤が軟弱になりやすい傾向であることがわかります。

地盤補強工事の費用がわかるタイミング

地盤補強工事が必要と判明したらできるだけはやく具体的な見積もりを知りたいと思うことでしょう。ここでは、地盤補強工事の全体の流れと地盤補強工事費用がわかるタイミングについて触れていきます。

【地盤補強工事までの全体の流れ】

  1. 複数業者からプラン・見積もりを比較
  2. 業者(ハウスメーカー)を決定
  3. 間取り決定後に地盤調査
  4. 結果に合わせて地盤補強工事費用を提示
  5. 地盤補強工事の契約を締結
  6. 地盤補強工事の施工

地盤調査は間取り決定後に実施されます。どの工法で地盤補強工事をするかは、地盤調査の結果次第でことなるので、最初の段階では総額が明確にわからない点が多くの人が頭を抱えるところです。なお、地盤調査費用も地盤補強工事費用の中に含まれます。

地盤調査の費用は間取り決定後

まず、地盤調査を行えるのが、間取りが決定してからになります。というのも、地盤改良の範囲は住宅を建築する部分のみなので、土地のどの位置に建てるかが決まらないと地盤調査を行う範囲もわかりません。

また、地盤調査の方法に関して言えば、1戸建て住宅の建築において最も主流なスウェーデン式サウンディング試験という方法では、住宅の4隅とそれぞれを直線で結んだ中心点の合計5か所を調査します。
その5か所は、それぞれ1m位置がずれただけでもやり直さなければなりません。そのため、地盤調査が実施できるのが間取りが決定してからになってしまうのです。

地盤補強工事の費用は地盤調査後

前にも述べましたが、地盤補強工事の正確な費用は地盤調査後にしかわかりません。

それは、複数ある地盤補強工事の工法のうち、どの工法を採用するかが地盤調査の結果次第で決まるからです。地盤調査後となるとすでに間取りは決定しており、新築建築費用も確定している頃ですが、地盤補強工事の規模によっては費用として100万円単位のお金が追加で必要になることもあります。

地盤補強工事の費用相場

地盤補強工事費用とは、地盤調査と地盤補強工事の2種類の費用を指します。
地盤調査と地盤補強工事、どちらも複数の手法があり、費用も異なります。

大体の相場を知っておけば、事前にいくら必要か予想も付けられます。また、わからないからと言って、提示された見積もりそのままを鵜吞みにせず、その見積もりが妥当なものか、自身でも確認するようにしましょう。

相場より大幅に高く設定されていたり、使途不透明な費用が含まれている可能性も、残念ですが、無いとは言い切れません。以下に各手法の概要と費用相場を紹介します。

地盤調査の費用

地盤調査には主に4つの方法があります。

地盤調査の手法概要費用相場
ボーリング最も基本的な手法で、標準貫入試験ともいう。やぐらを組んで筒状の鋼管を差し込み地盤の強さと土質を確認する。15万円~30万円
平板載荷試験直径30cmの円盤形の銅板を基礎を設置する深さに設置し、実際の建物と同等の荷重をかけて沈下量と支持力を判定する。8万円~15万円
表面波探査地盤を揺らし、揺れの伝わる速さにより地盤の支持力と沈下特性を算出する。8万円~12万円
スウェーデン式サウンディング試験鉄の棒を機械で回転させながら差し込み、棒の沈み方から地盤の強さを判定する。5万円~10万円

1戸建てを建てる場合の地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験が一般的です。費用がリーズナブルで、調査は半日程度で終了します。

地盤補強工事の費用

地盤補強工事には主に以下の3種類があります。

【地盤補強工事の種類】

  • 表層改良工法
  • 柱状改良工法
  • 鋼管杭工法

軟弱な地盤がどの程度あるかによって採用される工法が決まります。以下でそれぞれの工法の特徴と費用の相場を紹介します。

費用相場は、一般的な戸建て住宅を想定した金額です。40~50坪の土地に30坪程度の建物を建てるのが一般的なので、坪単価は30坪の建物を前提としています。

表層改良工法

表層改良工法とは、土とセメント系凝固剤を混ぜ合わせて強固な地盤を作る工法です。軟弱な地盤が2m程度の場合に施工可能です。3つの中で最もリーズナブルな工法です。
メリットは、狭小地や変形した土地でも施工可能で、工期も1日~2日程度の短期間でできる点です。小型重機で工事可能なのも魅力の1つです。一方で、急勾配の土地や、地下水位が高い土壌では施工できない点がデメリットです。

坪単価総額(30坪の場合)
1万円~2万円30万円~60万円

柱状改良工法

柱状改良工法とは、セメント系凝固剤を支持地盤まで注入し、直径60cm程度のセメントの柱で支持力を高める工法です。軟弱な地盤が2m~8m程度の場合に施工可能です。支持地盤までの深さや床面積、柱の本数によって費用が変動します。

コンクリートの柱と地盤との摩擦力で支えるため、軟弱な地盤の下に強固な地盤がなくても施工できる点がメリットです。一方で、狭い土地では施工が難しい点と、地盤の原状復帰が困難で、将来的に土地を売却する際に障害となりうる点がデメリットです。

坪単価総額(30坪の場合)
2万円~3万円60万円~90万円

鋼管杭工法

鋼管杭工法とは、鋼管でできた杭を規則正しく硬い支持地盤まで打ち込み頑強な土台を作る工法です。軟弱な地盤が5m~10m程度の場合に施工します。3つの中でもっとも地盤強度を確保でき、より重量のある建築物でも対応できる工法です。

鋼管は柱状改良工法のコンクリートより細いため、比較的狭い土地でも施工でき、小型重機で工事できる点がメリットです。反対に、施工中に騒音や振動が発生する点と、軟弱地盤の下に強固な支持層がないと施工できない点がデメリットです。

坪単価総額(30坪の場合)
4万円~6万円120万円~180万円

地盤補強工事を行う時の注意点

地盤調査の結果軟弱な地盤と判明した場合、地盤補強工事は不可避ですが、注意すべき点がいくつかあります。ここでは3つ紹介します。

【地盤補強工事を行うときの注意点】

  • 工事業者によって地盤補強費用が異なる
  • 地盤資料を元にあらかじめ予算を見込んでおく
  • 地盤補強工事前に近隣への挨拶を欠かさない

各項目について以下で説明します。

工事業者によって地盤補強費用が異なる

地盤補強工事の費用は、施工会社の値段設定により大きく異なります。また、地盤調査の精度の違いで採用する工法が変わる場合もありますし、施工会社の得手不得手によって過剰な工法を採用されるケースもあります。そのため、ハウスメーカーの下請けなど複数の業者に調査を依頼してプランや金額を比較することをお勧めします。

地盤資料を元にあらかじめ予算を見込んでおく

地盤補強工事にかかる費用は、前もって明確にはわからないところが難点です。しかし、ある程度の予測をつけることは可能です。

地域によっては過去に自治体が実施した地盤調査結果を公開しており、窓口やホームページから確認できます。経験豊富なハウスメーカーであれば、過去の資料からある程度の予測を立てて概算の見積もりを教えてもらえるので、予算が立てやすくなります。

地盤補強工事前に近隣への挨拶を欠かさない

地盤補強工事を行う際には近隣トラブルに注意が必要です。工事において重機による騒音や振動、粉塵への苦情はつきものです。

近隣トラブルを避けるために、近隣への事前の挨拶と詳しい説明が必要です。施工業者が挨拶をしてくれる場合もありますが、施主自身も業者に同行して直接挨拶をすることで配慮と誠意を示すことが最も効果的です。

まとめ

家を建てる際、地盤調査で地盤が軟弱と判明した場合には、地盤補強工事をしなければなりません。

地盤補強工事には表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法の3つの工法があります。それぞれ費用が異なりますが、採用する工法は地盤調査の結果で決まります。地盤調査が終わるまで明確な工事費用はわかりませんが、経験豊富な自治体の過去の地盤調査結果が入手できれば、ある程度の概算を算出することは可能です。

業者により価格設定も対応も異なりますので、価格だけでなく近隣への配慮なども含めて安心して任せられる業者選びが重要です。