オフィス移転時のチェックリスト!やるべきタスクを一覧で紹介
2023年9月6日
オフィスを移転する際には検討することの多さから準備期間を要し、様々な手続きも必要です。スムーズにオフィスの移転を進めていくには、事前に段取りを把握しておくことが大切です。
そこで、オフィス移転の担当者が準備段階から移転完了後までにやるべきタスクを時期で分けて、チェックリストとしてまとめました。ぜひ、オフィス移転の際にご活用ください。
オフィス移転の流れ
オフィス移転は大まかに、移転先となる新オフィスの選定と契約、現オフィスの解約、新オフィスのレイアウトの作成、内装工事、引越業者の手配や各種手続き、引越、原状回復工事といった流れで進めていきます。移転先の選定から引越しを行うまでにかかる期間は、およそ8ヶ月が目安です。1年前からオフィスの設計や工事を依頼する業者探しを行うなど準備を始めておくと、スムーズに進められます。
【7〜8ヶ月前】オフィス移転する際のチェックリスト
オフィス移転の7〜8ヶ月前は、移転の準備と新オフィスを探して契約を行う段階です。
7〜8ヶ月前にやるべきチェックリスト | |
□ | オフィス移転の目的・移転先の条件の明確化 |
□ | 現オフィスの契約内容の確認 |
□ | オフィス移転のスケジュール作成 |
□ | オフィス探し |
オフィス移転を決定したら、まずはオフィス移転を行う目的を明確化し、移転先の新オフィスの条件をまとめます。また、現オフィスの解約に関して契約内容を確認しておきます。オフィス移転に関して、いつ何を行うかスケジュールの作成も必要です。そして、オフィス探しをスタートして、希望条件に合うオフィスが見つかったら、契約条件を確認した後、契約手続きを行います。
オフィス移転の目的・移転先の条件の明確化
オフィス移転の目的は、新オフィスの物件探しやレイアウトに大きく関わってきます。たとえば、「社員数が増加して手狭になったので広いところに移る」、「在宅ワーク制度を導入したのでオフィスを縮小してフリーアドレス式にする」、「最寄り駅から離れていて不便なため、利便性のよい場所に移る」といった点が目的となります。
そして、オフィス移転の目的を踏まえて、移転先となる新オフィスの希望条件を明確にします。希望条件は広さ、賃料や保証金、立地、周辺環境、必要な設備などを決めておきます。
現オフィスの契約内容の確認
現オフィスが賃貸物件の場合には、賃貸借契約書をもとに解約予告の時期と原状回復の条件を確認しておきます。解約予告の時期は、オフィス用の賃貸物件は退去日の6ヶ月前とされていることが多いです。また、原状回復の条件として、原状回復が必要な範囲や工事業者の指定の有無、敷金(保証金)の返金などについて確認します。オフィスの賃貸借契約では敷金を償却することが多く、必ずしも返還されるとは限りません。
オフィス探し
移転先の希望条件をもとにオフィス探しを行います。ポイントとなるのは、立地や周辺環境の面では、最寄り駅からの徒歩分数や従業員の通勤時間、取引先へのアクセスのしやすさ、金融機関や飲食店や商業施設の有無、他のテナントの状況などです。設備の面では、現状の空調設備の位置や共用部分のトイレなどを確認します。また、古いビルの場合は電気容量が低い場合もあるため、注意が必要です。社有車がある場合には、駐車場の有無も確認します。このほかには、ビルによっては使用時間の制限が設けられていて、出入りができない時間帯があるため確認しておきましょう。
【6ヶ月前】オフィス移転する際のチェックリスト
オフィス移転の6ヶ月前には、新オフィスの契約と現オフィスの解約通知を行い、新オフィスのレイアウトのプランニングなどを進めます。
6ヶ月前にやるべきチェックリスト | |
□ | 新オフィスの契約 |
□ | 現オフィスの解約通知 |
□ | 内装工事関連の業者の選定 |
□ | 新オフィスのレイアウトのプランニング |
□ | インターネット環境・業務システムの検討 |
希望条件に合う新オフィスが見つかったら、契約条件を確認して賃貸借契約を締結します。また、解約予告期間や新オフィスの選定の進捗を踏まえて、現オフィスの解約通知書を送付します。
新オフィスが決定したら、内装工事に関連する業者を選定し、コンセプトを決めたうえで、部署ごとのゾーンニングや執務スペース以外の配置などを検討し、レイアウトプランを作成します。インターネット環境のほか、必要に応じて業務システムの見直しも行います。
内装工事関連の業者の選定
内装工事に関連する業者の選定にあたっては、ビルの管理会社が指定するケースもあるため、確認が必要です。また、内装工事業者は、各種工事の専門業者と内装デザインからワンストップで依頼できる業者などがあります。これまでの実績や会社の規模、依頼する工事の範囲、予算などから、自社のニーズに合った業者を選定します。
新オフィスのレイアウトのプランニング
内装工事関連の業者と打ち合わせを行いながら、レイアウトプランを決定します。
まずは、新オフィスのプランニングの前にコンセプトを決めます。たとえば、コンセプトは「アイデアが生まれる自由な雰囲気のオフィス」「くつろぐ場のあるカフェのようなオフィス」「コミュニケーションが活発になるオフィス」といったものです。
次に部署ごとに必要なスペースの洗い出しを行い、エントランスや会議室といった執務スペース以外とともに、ゾーンニングをします。そして、デスクの配置を含めた具体的なレイアウトプランを作成するという流れです。
インターネット環境・業務システムの検討
新オフィスのレイアウトのプランニングと併せて、インターネットなどの通信環境を検討します。昨今ではWi-Fi(無線LAN)が一般的になってきています。無線LANにするとLANケーブルの配線が少なくて済むため、レイアウト変更がしやすく、オフィスのどこでもインターネットが使えるといったメリットがあります。
また、オフィス移転の際に業務システムの見直しを行うことが多く、クラウドサービスを利用する場合には通信量が増加するため、従来よりも安定したネットワーク環境が求められます。
【4ヶ月前】オフィス移転する際のチェックリスト
オフィス移転の4ヶ月前には内装工事やオフィス家具の発注、引越業者の選定を行います。
4ヶ月前にやるべきチェックリスト | |
□ | 内装工事の工事請負契約の締結 |
□ | オフィス家具・OA機器の選定・発注 |
□ | 引越業者の選定 |
新オフィスのレイアウトプランが決まったら、見積書を確認して予算に合わせて調整を行った後、内装工事業者と工事請負契約を締結します。また、オフィスのレイアウトプランのコンセプトに合わせて、必要なオフィス家具などを選定して発注。現オフィスからの移転に伴う、引越業者の選定も行っておきます。
オフィス家具・OA機器の選定
新オフィスのレイアウトプランをもとに、必要なオフィス家具やOA機器をリストアップします。コピー機などでリースしているものがある場合は、移転後も継続してリースするか検討します。家具はコンセプトに合ったデザインのものを選ぶのがポイントです。家具を選定したら、送料などを含めた見積もりを依頼して、予算内に収まるようであれば発注します。
また、現オフィスの家具などで廃棄するものをリストアップし、処分費用の見積もりをとります。
引越業者の選定
複数の引越業者に見積もりを依頼して、作業内容や費用を比較して業者を選定します。引越業者によって条件が異なることがある点に注意が必要です。
また、引越業者でも不用品の引き取りを行っていることが多いです。他の業者に依頼いするよりも手間が省ける点を踏まえて、見積もりを比較しましょう。
【2ヶ月前】オフィス移転する際のチェックリスト
オフィス移転の2ヶ月前は内装工事に着工するタイミングです。現オフィスの原状回復工事の手配や社内マニュアルの作成を行うほか、引越の準備にも取り組んでいきます。
2ヶ月前にやるべきチェックリスト | |
□ | 新オフィスの内装工事の進捗管理・施主検査 |
□ | 現オフィスの原状回復工事の発注 |
□ | 社内マニュアルの作成 |
□ | 引越の準備 |
□ | インターネット回線・ライフラインなどの手続き |
新オフィスの内装工事が着工したら、スケジュール通りに工事が完了するか、進捗を適宜確認を行い、工事の完了後は図面通りに工事が完了しているか施主検査を実施した後、引き渡しとなります。新オフィスへの移転後に、速やかに原状回復工事に入れるように発注を行っておきます。
また、オフィス移転に伴う社内マニュアルを作成して、取引先への移転の連絡やデータのバックアップなど、引越の準備も順次進めていきます。現オフィスと新オフィスのインターネット回線や電気・ガス・水道といったライフラインに関わる手続きも必要です。
現オフィスの原状回復工事の発注
現オフィスの原状回復工事を契約期間内に完了させるため、退去後に速やかに着工できるように工事業者に発注しておきます。ただし、次に入居する企業が居抜きを希望した場合には、原状回復工事が不要となることもあります。
社内マニュアルの作成
オフィス移転による社内の混乱を避けるために、スケジュールや役割の周知を図るため、社内マニュアルを作成します。マニュアルには、移転の日時、新オフィスの場所、新オフィスのレイアウト、移転までの全体スケジュール・当日のスケジュール、移転までに部署ごとにやるべきことのリスト、移転までに個人がやるべきことのリストなどを記載します。
引越の準備
引越の準備として、新オフィスの住所が記載された名刺や封筒といった印刷物、ゴム印などの発注を行います。そして、移転の1ヶ月前を目安に取引先などに、移転案内を発送します。データのバックアップの手配も必要です。
また、移転の1ヶ月ほど前になると引越業者から段ボールなどの梱包材が送られてきますので、業務に必要のないものから梱包を進めていきましょう。
【移転当日】オフィス移転する際のチェックリスト
オフィス移転の当日は、各種立ち会いや移転に関連するホームページなどの更新を行います。
当日にやるべきチェックリスト | |
□ | 旧オフィスの退去の立ち会い |
□ | 旧オフィスのライフライン手続きの立ち会い |
□ | 新オフィスの搬入の立ち会い |
□ | ホームページやSNSの更新 |
オフィス移転当日は旧オフィスでの荷物の積み込みや、新オフィスでの荷物の搬入に立ち会い、荷物の積み残しなどがないか確認し、万が一トラブルが発生したときに対応します。現オフィスのガスや水道の使用停止手続きにあたっては、立ち会いが必要になることもあります。
また、オフィス移転に伴い、ホームページやSNSの更新作業を行います。
ホームページやSNSの更新
移転当日にホームページを更新して、オフィスの住所を変更します。社員がメールアドレスの署名に現オフィスの住所を入れている場合には修正が必要です。また、SNSでオフィスを移転したことを改めて発信します。
【移転後1ヶ月以内】オフィス移転する際のチェックリスト
現オフィスの退去後は原状回復工事を行います。また、新オフィスの営業開始日に各種業者の立ち会いを依頼しておきます。
移転後1ヶ月以内にやるべきチェックリスト | |
□ | 廃棄物の処分 |
□ | 原状回復工事の進捗管理 |
□ | 営業開始日の各種業者の立ち会い |
□ | 竣工図の保管 |
オフィスの退去後に廃棄物の処分と原状回復工事を行います。また、営業開始日にはインターネットの接続や各種設備の不具合が起こる可能性があるため、業者に立ち会いを依頼しておきます。将来的なレイアウト変更やオフィスの移転などに備えて、新オフィスの竣工図を保管します。
原状回復工事の進捗管理
原状回復工事を契約期間内に完了させる必要があるため、工事の進捗について工事業者から報告を受けます。原状回復工事の完了後に施主検査を行い、管理会社やオーナーに引き渡します。
オフィス移転に伴い必要な手続きチェックリスト
オフィス移転に伴い、公的な各種手続きも必要となります。主に必要となる手続きをまとめました。
届出先 | 提出期限 | 提出書類 | 代行依頼の可否 | |
□ | 法務局 | 2週間以内 | 本店移転登記申請書 登録免許税(3万円、または6万円) | 可(司法書士) |
□ | 税務署 | 速やかに 1ヶ月以内 | 異動届書 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 可(税理士) |
□ | 都道府県税事務所 | 1ヶ月以内 | 異動届出書 | 可(税理士) |
□ | 年金事務所 | 5日以内 | 適用事業所名称・所在地変更(訂正)届 | 可(社会保険労務士) |
□ | 労働基準監督署 | 10日以内 | 労働保険名称、所在地等変更届 | 可(社会保険労務士) |
□ | 公共職業安定所 | 10日以内 | 労働保険名称、所在地等変更届 ※二元適用事業の場合 雇用保険事業主事業所各種変更届 | 可(社会保険労務士) |
□ | 郵便局 | ─ | 転居届 | ─ |
移転したオフィスが本店の場合には、移転から2週間以内に法務局へ本店移転登記申請書の提出が必要です。また、登録免許税の納付が必要であり、法務局の管轄内への移転は3万円、管轄外の場合は6万円です。
移転前と移転後の管轄の税務署に、異動届書と給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を提出します。異動届書は具体的な期限は設定されていませんが、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書は移転から1ヶ月以内の届出が必要です。また、異動届書は都道府県税事務所にも提出します。いずれも手続きには、登記事項証明書の写しや定款の写しが必要です。ただし、別の都道府県への移転では書類が異なることがありますので確認しましょう。
社会保険関係の手続きは、年金事務所に適用事業所名称・所在地変更(訂正)届を提出します。手続きには法人(商業)登記簿謄本のコピーが必要です。
労災保険と雇用保険は一元適用事業と二元適用事業で取り扱いが異なります。一元適用事業の場合は、移転後の管轄の労働基準監督署に、労働保険名称、所在地等変更届を提出した後、公共職業安定所へ雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。二元適用事業の場合は移転後の管轄の労働基準監督署に、労働保険名称、所在地等変更届を提出した後、公共職業安定所に労働保険名称、所在地等変更届と雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。手続きには法人(商業)登記簿謄本が必要です。
また、郵便局に転居届を提出しておくと、届出日から1年間、現オフィスの住所宛てに届いた郵便物が、新オフィスに転送されます。企業の移転の場合は、提出者の本人確認書類(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード)などの提示を求められます。
まとめ
オフィス移転には多くの手間や労力を必要としますが、先の流れを理解して段取りを組んでいくことで、大きなトラブルを避けられます。そのためには担当者を決めて早めに次のステップの準備を進めいくことが大切です。入念な準備がオフィス移転の成功につながっていきます。