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コラム

店舗など賃貸テナントの原状回復はどこまで?範囲や費用相場を解説

2024年3月1日

店舗やオフィスなどの賃貸テナントの原状回復は、退去後のトラブルに発展しやすい問題です。本記事では、原状回復の範囲、費用、注意点、トラブルを防ぐポイントについて解説します。

店舗など賃貸テナントの原状回復範囲はどこまでか

店舗やオフィスなどの賃貸テナントの場合、原状回復の範囲は基本的に賃貸借契約書・特約で定められます。
具体的には、以下の内容が記載されます。

  • 通常の使用による損耗: フローリングの傷や壁紙の汚れなど
  • 経年劣化: 設備の老朽化など
  • 借主が故意または過失によって生じた損傷: 壁に穴を開けたなど
  • 原状回復に含まれないもの: 造作・設備の撤去跡、原状回復に必要な費用

居住用物件とは異なり、テナント物件には原状回復に関するガイドラインが存在しないため、物件によって原状回復の範囲が大きく異なる点に注意が必要です。

原状回復範囲は賃貸借契約書・特約で確認

契約時に賃貸借契約書・特約の内容を細かく確認することは非常に重要です。特に、以下の点に注意しましょう。

  • 原状回復の範囲が具体的にどのように記載されているか
  • 原状回復に含まれないもの
  • 原状回復費用の負担割合
  • 原状回復工事のスケジュール

不明点があれば、必ず貸主に確認しましょう。

経年劣化も借主の原状回復範囲に含まれる

基本的には、経年劣化も借主の原状回復範囲に含まれます。ただし、以下の場合は例外となる可能性があります。

  • 通常の使用による範囲を超えている: 設備の過度な摩耗など
  • 貸主に修繕義務がある: 設備の故障など

例外となるかどうかは、具体的な状況によって判断されます。

居住用物件の場合はガイドラインがある

居住用物件の場合、原状回復の範囲については国土交通省が定めたガイドラインが存在します。ガイドラインでは、通常の使用による損耗は借主の負担とせず、貸主が負担すべきであるとされています。

しかし、テナント物件にはこのようなガイドラインがないため、物件によって原状回復の範囲が大きく異なる点に注意が必要です。

参考:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

原状回復の範囲に関する民法改正の内容

2020年4月の民法改正では、原状回復の範囲に関する以下の点が変更されました。

  • 借主は、通常の使用による損耗を除いて、賃貸物件を原状回復する義務を負う。
  • 貸主は、原状回復に必要な費用を負担する義務を負う。

賃貸借契約書に、原状回復に関する特約を定める場合、借主が不当に不利益を受ける内容のものは無効とする。
この改正により、借主の負担が軽減される可能性があります。

店舗など賃貸テナントの原状回復費用の相場

店舗など賃貸テナントの原状回復費用は、物件の規模や業種、原状回復の範囲によって大きく異なります。
坪単価3万円~30万円が相場と言われていますが、これはあくまでも目安です。

  • 小規模なオフィス: 坪単価3万円~5万円
  • 中規模な店舗: 坪単価4万円~8万円
  • 大規模な店舗: 坪単価5万円~10万円
  • 飲食店: 坪単価4万円~10万円

上記はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は物件や業種、原状回復の範囲によって大きく異なります。

店舗など賃貸テナントの原状回復における注意点

店舗など賃貸テナントの原状回復には、以下の点に注意が必要です。

  • 居抜き物件は退去時にスケルトンに戻す必要
  • エアコンを移設・増設したら退去時に空調工事が必要
  • リノベーションや修理を行った場合も元の状態に戻す

これらの注意点を守ることで、退去後のトラブルを防ぎ、スムーズな退去を実現することができます。

居抜き物件は退去時にスケルトンに戻す必要ある場合も

居抜き物件とは、前のテナントが内装や設備を残したまま退去した物件です。居抜き物件を借りる場合、退去時にスケルトンに戻す必要がある場合があります。

スケルトンに戻すとは、床や壁、天井などの内装を全て撤去し、元の状態に戻すことです。スケルトンに戻す必要性については、賃貸借契約書・特約で確認しましょう。

対策・心構え

  • 賃貸借契約書・特約をよく確認し、スケルトンに戻す必要があるかどうかを確認する。
  • スケルトンに戻す必要がある場合は、退去時に必要な費用を事前に見積もっておく。
  • 原状回復工事は、貸主指定の業者に依頼する必要がある場合がある。

例外

  • 賃貸借契約書・特約でスケルトンに戻す必要がないと明記されている場合。
  • 貸主と交渉して、スケルトンに戻す必要性を免除してもらえる場合。

エアコンを移設・増設したら退去時に空調工事が必要

エアコンを移設・増設した場合、退去時に空調工事が必要になる場合があります。

空調工事には、以下の費用がかかります。

  • エアコンの取り外し・取り付け費用
  • 配管の延長費用
  • 穴あけ費用

対策・心構え

  • エアコンの移設・増設を行う前に、貸主に許可を得る。
  • 空調工事は、貸主指定の業者に依頼する必要がある場合がある。
  • 退去時に必要な費用を事前に見積もっておく。

例外

  • エアコンを元の位置に戻す場合。
  • 貸主と交渉して、空調工事の必要性を免除してもらえる場合。

リノベーションや修理を行った場合も元の状態に戻す

リノベーションや修理を行った場合、退去時に元の状態に戻す必要があります。元の状態に戻すためには、以下の費用がかかります。

  • リノベーションや修理を行った箇所の復旧費用
  • 原状回復費用

対策・心構え

  • リノベーションや修理を行う前に、貸主に許可を得る。
  • リノベーションや修理は、貸主指定の業者に依頼する必要がある場合がある。
  • 退去時に必要な費用を事前に見積もっておく。

例外

  • 貸主と交渉して、元の状態に戻す必要性を免除してもらえる場合。
  • リノベーションや修理が軽微な場合。

店舗など賃貸テナントの原状回復でのトラブルを防ぐポイント

店舗など賃貸テナントの原状回復でトラブルを防ぐためには、以下の3つのポイントが重要です。

  • 契約時に賃貸借契約書・特約の内容を細かく確認する
  • 移転が決まった時点で早めに行動を起こす
  • 専門家に相談してサポートを受ける

これらのポイントを意識することで、退去後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな退去を実現することができます。

契約時に賃貸借契約書・特約の内容を細かく確認する

契約時に賃貸借契約書・特約の内容を細かく確認することは、トラブルを防ぐための最も重要なポイントです。

具体的には、以下の点を確認しましょう。

  • 原状回復の範囲
  • 原状回復に含まれないもの
  • 原状回復費用の負担割合
  • 原状回復工事のスケジュール
  • 紛争解決手続

何をすべきか

  • 契約書の内容を理解できない場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談する。
  • 不明点があれば、必ず貸主に質問する。
  • 原状回復に関する条項は、書面で確認する。

移転が決まった時点で早めに行動を起こす

  • 退去予定日の少なくとも3ヶ月前には、貸主に退去の意思を伝える。
  • 原状回復業者選びは、複数の業者から見積もりを取ることで、費用を抑えることができる。
  • 原状回復工事の日程は、退去日までに余裕を持って決める。
  • 退去前にハウスクリーニングを行うことで、原状回復費用を抑えることができる。

専門家に相談してサポートを受ける

不安な点があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談してサポートを受けることをおすすめします。
専門家は、原状回復に関する法律や知識を熟知しており、トラブル発生時の対応についてもアドバイスすることができます。

何をすべきか

  • 賃貸借契約書・特約の内容を理解できない場合は、専門家に相談する。
  • 原状回復費用に関する見積もりに疑問がある場合は、専門家に相談する。
  • 退去後に貸主から原状回復費用を請求された場合は、専門家に相談する。