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コラム

テナントからの立ち退き交渉の進め方を解説!明け渡しを円満に依頼するには?

2024年3月4日

テナントの立ち退き交渉は、双方が納得できる解決を目指す重要なプロセスです。しかし、複雑な手続きを伴い、トラブルに発展するケースも少なくありません。

この記事では、円滑な立ち退き交渉を実現するためのポイントを分かりやすく解説します。

テナントから賃借人を退去させたい場合は正当事由が必要

賃貸物件のオーナーがテナントに退去を求める際には、法律に基づく正当な理由が必要です。これは、賃借人の権利を保護し、不当な立ち退きを防ぐためです。

立ち退きを依頼できる正当事由とは

借地借家法第28条では、オーナーがテナントに立ち退きを依頼できる要件について定められています。

建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件

第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

引用:e-GOV|借地借家法(平成三年法律第九十号)

上記の条文を簡単にいうと、以下の5つの要件を満たす場合、オーナーはテナントに立ち退きを依頼することができます。

  • オーナー側が立ち退きを迫る事情
  • テナント側が建物を必要とする事情
  • 賃貸借に関するこれまでの経緯・経過
  • 建物の利用状況および建物の現況
  • 立ち退き料の支払い

オーナー側が立ち退きを迫る事情

オーナーが自らの物件を使用する必要がある場合や、建物の大規模な改修を予定している場合など、オーナー側に立ち退きを求める正当な事情が必要です。

テナント側が建物を必要とする事情

テナントが建物を適切に使用していない、または賃貸契約の条件に違反している場合、オーナーは立ち退きを要求することができます。

賃貸借に関するこれまでの経緯・経過

賃貸借契約の経緯や、これまでのトラブルの有無も、立ち退き交渉において重要な要素となります。

建物の利用状況および建物の現況

建物の現在の利用状況や、物理的な状態も、立ち退きを求める際の考慮事項です。

立ち退き料の支払い

立ち退きに応じるテナントに対しては、適切な立ち退き料の支払いが行われるべきです。

テナントからの立ち退き料の相場

立ち退き料は、以下の要素を総合的に考慮して決定します。

  • 立ち退きまでの期間
    立ち退きまでの期間が長ければ長いほど、テナントは移転の準備や営業継続のための時間確保に余裕ができるため、立ち退き料が高額になる傾向があります。
  • テナントの営業状況
    テナントの営業状況が良好であれば、移転による損失が大きくなるため、立ち退き料が高額になる傾向があります。
  • 立退きによるテナントの損失
    移転費用、売上減少、顧客離れなど、立退きによってテナントが被る損失が大きければ大きいほど、立ち退き料が高額になる傾向があります。
  • 周辺の相場
    同様の立地条件や規模の物件における過去の立ち退き事例を参考に、周辺の相場を把握することが重要です。

強制退去が認められるケース

原則として、テナントに退去を依頼するには、正当事由が必要です。しかし、例外的に正当事由なしで退去を求められるケースも存在します。

以下、正当事由なしで退去・明け渡しを要求できるケースを紹介します。

【正当事由なしで退去・明け渡しを要求できるケース】

  • 定期借家契約の場合
    定期借家契約とは、期間を定めて締結する賃貸借契約です。契約期間満了後は、更新の意思に関わらず、テナントは退去する必要があります。
  • 一時使用目的の建物の賃貸借の場合
    一時使用目的の建物の賃貸借とは、店舗や事務所など、一時的な使用を目的とした賃貸借契約です。契約目的が達成された後は、正当事由なしでテナントに退去を要求することができます。
  • ケース貸しの場合
    ケース貸しとは、イベントや展示会など、特定の期間のみ利用するために貸し出す賃貸借契約です。契約期間満了後は、正当事由なしでテナントに退去を要求することができます。

上記はあくまで一般的な説明であり、個々の状況によって判断が異なる場合があります。それぞれのケースに該当するかどうか、判断が難しい場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

テナントの立ち退き交渉の進め方

円満な立ち退き交渉を実現するために、以下の手順を踏むことが重要です。

  1. 賃借人への説明文書の提示
  2. 口頭での説明と協議
  3. 賃借人側の事情聴取
  4. 立ち退き料の交渉と合意

①賃借人への説明文書の提示

立ち退きを依頼する際には、なぜ立ち退きを依頼するのか、いつまでに立ち退いてほしいのか、立ち退き料は支払うのかなどを明確に示した説明文書を賃借人に提示する必要があります。

文書の内容によっては、トラブルに発展する可能性があるため、弁護士に相談することをおすすめします。

②口頭での説明と協議

説明文書を提示した後に、口頭で立ち退きの理由や条件を説明し、賃借人の意見や質問に答えることで、双方の理解を深め、合意を目指すことです。

③賃借人側の事情聴取

立ち退きによって賃借人にどのような影響があるのかを丁寧に聞き取り、立ち退き交渉を円滑に進めるための情報収集。賃借人側の事情聴取は、立ち退き交渉を成功させるための重要なステップです。賃借人の事情を理解することで、双方が納得できる解決策を見つけやすくなります。

④立ち退き料の交渉と合意

立ち退き料の金額は、賃借人の損失、周辺の相場、立ち退きまでの期間などを考慮して決定する必要があります。交渉が難航する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

立ち退き交渉を円滑に進める方法

立ち退き交渉は、双方が納得できる解決を目指す、非常に重要なプロセスです。円滑な交渉を進めるためには、以下のポイントを意識することが重要です。

【立ち退き交渉を円滑に進める方法】

  • 立ち退きの通告期間に余裕を持たせる
  • 立ち退きを求める理由を偽りなく伝える
  • 店舗の移転先に関する情報を提供する

立ち退きの通告期間に余裕を持たせる

テナントに十分な準備時間を確保するためには、早めに立ち退きを伝えることが重要です。法令で定められた最低通告期間を遵守するだけでなく、可能な限り余裕をもって伝えましょう。

立ち退きを求める理由を偽りなく伝える

立ち退きには正当事由が必要であり、テナントに納得してもらうためには正直な説明が不可欠です。理由を明確に伝え、必要に応じて証拠資料を提示することで、円滑な交渉に繋げることができることもあります。

店舗の移転先に関する情報を提供する

テナントにとって、移転は大きな負担となります。移転先探しを支援することで、テナントの不安を軽減し、立ち退きへの理解を得やすくなります。周辺の空店舗情報や、移転費用補助制度などの情報を提供しましょう。