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コラム

事務所の原状回復工事、義務や範囲はどこまで?工事費用の相場も紹介

2023年3月1日

事務所の原状回復で必要となる工事負担は、居住用物件と比べて対象範囲が異なります。これから事務所の移転などを検討しており、原状回復にかかる工事の内容や、費用の相場について知っておきたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、事務所の原状回復工事に関する概要や範囲、費用相場などをご紹介した上で、発生しやすいトラブルと対策についても解説します。

事務所の原状回復義務

貸借物の原状回復義務は、事務所や事業用の物件と居住用の物件では異なる場合があります。居住用物件の場合は、原状回復が求められる範囲は「借主の不注意や管理不足で生じた損傷」と定義されており、通常損耗や経年劣化は含まれていません。

しかし、事務所や事業用の物件の場合は、賃貸借契約の時点でどのような「原状回復特約」を結んでいるかがポイントとなります。特約として締結している内容に対しては、経年劣化であるなどを問わず、原状回復の責任が借主に生じるため、居住用物件と比べて範囲や費用が大きくなる場合が多いのです。

事務所の原状回復範囲

事務所を退去する際、原状回復として借主が負担するのは、原状回復特約に明記された範囲全てです。具体例としては、事務所内のパーテーションの撤去にかかる費用や、壁紙の張り替え・塗装にかかる費用、床下配線の撤去にかかる費用などが挙げられます。

物件の状態を借りたときに戻さなければならないため、場合によっては建物の骨組み以外は全て解体する「スケルトン工事」も必要です。基本的に貸主側が負担すべき項目は、特約として記載していない限り、通常損耗や経年劣化によって生じる原状回復工事のみとなります。

一方で、居住用物件の場合、貸主は通常損耗や経年劣化が原因で発生する工事とともに、日焼けした壁紙や家電の設置跡などに必要な工事も負担しなければなりません。

事務所の原状回復工事費用の相場

事務所における原状回復工事の費用相場は、小・中規模の場合で坪単価が約2〜5万円、大規模な場合で坪単価が約5〜10万円となるのが一般的です。ただし、原状回復工事の内容によって費用は変動するため、一概にこの価格になるとはいえません。

例えば、事務所の一部をショールーム形式に改造していたり、増設したスペースがあったりすると、工事の費用が相場よりも高くなる可能性があります。

一方、費用が低くなるケースとして居抜き物件で次の借主へ受け渡せる場合は、備品の撤去などを免除された状態での退去も可能です。原状回復の範囲も限定的となるため、費用負担の軽減が見込めるでしょう。

事務所の原状回復工事の期間目安

原状回復工事にかかる期間の目安として、事務所が100坪未満であれば、着工から完了に2週間から1ヵ月ほどかかるのが一般的といえます。それに対し、工事箇所が多い場合や、撤去箇所が多い場合は、1ヵ月以上の期間を要する可能性もあります。

事務所の原状回復工事にかかる期間はケースバイケースのため、スムーズな退去を実現するためにも、できるだけ早めに業者へ相談するとよいでしょう。

事務所の原状回復で起こりやすいトラブルと対策

続いて、事務所の原状回復で起こりやすいトラブルと対策として、以下の項目について解説します。

  • 原状回復義務の範囲
  • 原状回復費用の金額

それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

原状回復義務の範囲

事務所における原状回復義務の発生範囲は、物件によって違いがあります。特に契約書の特約などで貸主と借主の負担割合が詳述されていない場合は、工事や退去の段階でトラブルに発展しやすいでしょう。

そのため、原状回復工事の見積もりを行う前に、契約書の内容をあらかじめ確認しておくことが大切といえます。また、見積もり依頼後は、借主側が原状回復すべき項目が網羅されているか、しっかりと確認して追加工事の発生を防ぐこともポイントです。

原状回復費用の金額

原状回復工事の金額を相場よりも高く請求されたことにより、借主と工事業者との間でトラブルに発展するケースもあります。こうしたトラブルを防止するためにも、工事の見積書にはしっかりと目を通して、依頼内容に対する食い違いが発生していないか確認しましょう。

見積書の内容で分からない部分がある場合は、業者に質問して不明点を解消しておくことも大切です。事務所の原状回復費用は比較的大きくなりやすいため、業者と信頼関係を構築しておくことで、トラブルなくスムーズな工事依頼が可能となります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

国土交通省では、貸借物における退去時のトラブルを防ぐことを目的に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を取りまとめています。このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の「民間賃貸住宅」を想定して作成されたものですが、過去には事業用の物件に適用されたケースもありました。

ただし、賃貸借契約締結時に、「原状回復特約」としてガイドラインから外れた内容で貸主・借主間で合意している場合は、適用されない可能性が高いので注意しましょう。

ガイドラインの詳しい内容に関しては、「02_原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をご参照ください。

まとめ

事務所の退去時に原状回復する際、工事にかかる費用は全て借主負担となるのが基本です。特約としてしっかり決められていない場合では、通常損耗や経年劣化は貸主の負担となります。

ただし、原状回復の範囲や費用にまつわるトラブルは発展しやすいほか、場合によっては解決までに長期化しやすいため、事前に契約書を確認したり、見積書の不明点を解消したりしておくことが大切です。これから事務所の移転などをお考えの方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。