原状回復工事の費用相場はいくら?オフィス・店舗別の坪単価や安くする方法も
2023年6月21日
オフィスや店舗を退去する際には、原状回復工事を行う必要があります。原状回復工事とは、入居前の状態に戻す工事のことで、退去時の現状確認に基づいて、壁や床、天井などの内装工事、照明や空調などの設備工事、什器や備品の撤去などの工事を行います。
オフィスや店舗は、業種やお店のカラーに合わせて、内装・外装・設備を変更もしくは追加することが一般的です。そのため、居住用物件よりも多くの工事が必要になることから、費用も高くなりがちです。
本記事では、原状回復工事の費用相場について、オフィスと店舗に分けて解説します。また、原状回復工事費用を安くする方法についてもご紹介します。
オフィス・店舗の原状回復工事費用の相場
オフィスや店舗を退去する際には、原状回復工事を行う必要があります。原状回復工事とは、入居前の状態に戻す工事のことで、退去時の現状確認に基づいて、壁や床、天井などの内装工事、照明や空調などの設備工事、什器や備品の撤去などの工事を行います。
オフィスや店舗は、居住用物件よりも多くの工事が必要になることから、費用も高くなりがちです。原状回復工事の費用相場について、オフィスと店舗に分けて解説します。
オフィスの場合
オフィスの場合の原状回復工事の費用相場は、規模によって大きく異なります。
規模 | 坪単価の目安 |
---|---|
~50坪 | 3万円~5万円 |
51~100坪 | 5万円~7万円 |
101~300坪 | 7万円~10万円 |
301坪~ | 10万円~15万円 |
例えば、50坪のオフィスの場合、坪単価を5万円とすると、原状回復工事費用はおよそ250万円となります。
オフィスの原状回復工事費用が高くなる要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- オフィスの規模が大きい
- オフィスビルのグレードが高い
- オフィス内装に特殊な工事が必要
- オフィス内設備が古い
店舗の場合
- 店舗の場合の原状回復工事の費用相場は、小規模店舗(30坪以下)で2万円、中規模店舗(31~50坪)で3万円、大規模店舗(50坪超)で5万円以上が目安です。
- 例えば、40坪の店舗の場合、坪単価を3万円とすると、原状回復工事費用はおよそ120万円となります。店舗の原状回復工事費用が高くなる要因としては、以下のようなものが挙げられます。
オフィス・店舗の原状回復工事費用が高くなる7つの要因
オフィスや店舗の原状回復工事費用は、以下の7つの要因によって高くなる可能性があります。
・工事の時期や時間帯
早朝や夜間の工事は、人件費が高くなるため、費用が高くなる傾向にあります。
・テナントの条件
エレベーターがない、重機が入りにくい、駐車場が確保できないなどの条件が悪い場合、工事の効率が下がり、費用が高くなる可能性があります。
・内装の種類
特殊な内装が施されている場合、工事の難易度が高くなり、費用が高くなる可能性があります。
・業者の指定
業者が指定されている場合、競争原理が働かないため、費用が高くなる可能性があります。
・ビルの条件
立地の良い場所や新しいビルなど、条件の良いビルに入っている場合、費用が高くなる可能性があります。
・材料や処分費の高騰
材料や処分費が高騰している場合、費用が高くなる可能性があります。
・契約書の規定
契約書に記載されていた原状回復工事費用の負担割合が大きい場合、費用が高くなる可能性があります。
オフィス・店舗の原状回復工事費用の負担割合
民法改正前(2020年以前)の賃貸店舗の契約については、 借主がほぼ全て原状回復工事費用を負担しなければならないケースが多いです。
ただし、中には経年劣化を考慮してくれたり、限定的な負担で済む場合もあります。また特約によって、貸主側から契約解除を持ちかけられた際などに、原状回復が免除されるケースも考えられます。
具体的な原状回復の負担割合については、通常、契約書に明記されているため、その内容をよく確認しましょう。
原状回復工事の費用を安くおさえる方法
オフィスや店舗を退去する際には、原状回復工事を行う必要があります。原状回復工事費用は、規模や業種、用途などによって大きく異なります。また、破損や消耗の程度によっても費用が変わります。原状回復工事費用を安くおさえるためには、以下の方法があります。
- 居抜き退去する
- 見積りの内容をチェックする
- 指定業者や工事範囲を変更できないかオーナーに相談する
- 複数業者に見積り依頼する
- 相場を調べたうえで業者と交渉する
居抜き退去する
居抜き退去とは、前の入居者が設置した設備や内装をそのまま使用して退去することです。居抜き退去をすることで、原状回復工事費用を大幅に抑えることができます。ただし、居抜き退去をする場合、次の点に注意が必要です。
- 前の入居者が設置した設備や内装が、次の入居者にとって適しているか確認する。
- 前の入居者が設置した設備や内装の修繕や交換が必要かどうかを確認する。
- 前の入居者と交渉して、設備や内装の引き取り費用を負担してもらう。
見積りの内容をチェックする
原状回復工事の見積りには、以下の項目が記載されています。
- 工事内容
- 工事面積
- 工事費用
見積りの内容をチェックすることで、不必要な工事や高額な工事が行われていないかを確認することができます。また、見積りに記載されていない工事が発生しないかについても確認しておきましょう。見積りの内容をチェックする際の注意点は、以下のとおりです。
- 賃貸契約書に記載されている内容と工事内容が相違ないか確認する。
- 実際の工事面積と見積りに記載された面積が同じか確認する。
- 入居時よりもグレードの高い資材が使用されていないか確認する。
指定業者や工事範囲を変更できないかオーナーに相談する
- 原状回復工事は、オーナーが指定した業者に依頼することが一般的です。しかし、オーナーに相談することで、指定業者や工事範囲を変更できる場合があります。
- 指定業者や工事範囲を変更することで、費用を抑えることができる可能性があります。また、より信頼できる業者に依頼したり、より適切な工事内容を実現したりすることができます。
複数業者に見積り依頼する
複数業者に見積り依頼することで、相場を把握することができます。また、複数の業者から見積りをもらうことで、競争原理が働き、費用を抑えることができる可能性があります。複数業者に見積り依頼する際の注意点は、以下のとおりです。
- 複数の業者に見積り依頼するメリット・デメリットを理解する。
- 見積りを依頼する際の注意点を押さえる。
- 見積りの比較方法を理解する。
相場を調べたうえで業者と交渉する
相場を調べたうえで業者と交渉することで、費用を抑えることができる可能性があります。相場を調べる際は、以下のような方法があります。
- インターネットで検索する
- 不動産会社や工事業者に相談する
- 過去の経験を参考にする
相場を調べたうえで業者と交渉する際は、以下の点を押さえておきましょう。
- 相場をはっきりと伝える
- 自分の希望を伝える
- 妥協点を見出す
オフィス・店舗の原状回復で起こりやすいトラブルと対策
最後に、店舗の原状回復で起こりやすい以下のトラブルについて、対策方法をご紹介します。
- 原状回復義務の範囲
- 原状回復費用の金額
原状回復義務の範囲
オフィス・店舗の原状回復義務の範囲は、契約ごとに異なります。
しかし、契約書に原状回復義務の範囲が記載されていない場合、 あるいは細かく明記されていない場合などは、トラブルに発展しやすいでしょう。
対策としては、 契約内容を事前によくチェックすることです。
特に原状回復義務の範囲が記載されていない場合などは、オーナーと話し合い、契約書へ原状回復義務の範囲を細やかに盛り込みます。
また、居抜き物件の場合、前の入居者から原状回復義務も引き継ぐケースがある点には注意が必要です。仮に、居抜き前がスケルトン物件であった場合、退去に際してスケルトン工事が必要となります。
この他、特約事項にも目を通し、疑問点・不明点があれば契約締結前に解消しておきましょう。
原状回復費用の金額
原状回復費用の金額については、相場より高額な請求となった際に、トラブルに発展しやすくなります。
オフィスや店舗などの事業用物件については、原状回復工事の業者が指定されているケースも多く、これによって費用が高くなることがあります。
この場合の対策としては、まず詳細な工事見積書を出してもらいましょう。
その上で、過剰な工事項目(契約範囲外の工事項目)が含まれていないか、不明点をチェックしたり、業者の変更が可能かオーナーと交渉する方法もあります。
また、物件に価値を与える可能性がある設備・機器については、オーナーとの相談・交渉により、撤去が不要となる場合もあります。 撤去が不要となったら、原状回復の範囲が狭まるため、工事費用の減額も期待できます。
まとめ
オフィスや店舗を退去する際には、原状回復工事を行う必要があります。原状回復工事費用は、規模や業種、用途などによって大きく異なります。また、破損や消耗の程度によっても費用が変わりますので、事前に原状回復工事費用の相場や費用を抑える方法を知っておくことで、トラブルを未然に防ぎ、費用を抑えることができます。