大阪 東京 京都の賃貸原状回復工事・退去立ち合い代行。マンション空室対策、原状回復工事、内装リフォーム全般、不動産会社様向けのサポートはお任せください。
コラム

原状回復工事業者の選び方とは?5つのポイントや注意点をチェック

2023年7月25日

賃貸物件の原状回復工事には、様々な業者が関わります。これら業者の特徴や強みを理解することで、スムーズな原状回復が実現するのです。

今回は 原状回復工事業者の選び方のポイントを5つ解説。業者に依頼するタイミング 、見積もりの確認項目、費用を安く抑える方法などについてもご紹介しています。

原状回復工事とは?

賃貸物件の原状回復工事には、様々な業者が関わります。これら業者の特徴や強みを理解することで、スムーズな原状回復が実現するのです。

今回は 原状回復工事業者の選び方のポイントを5つ解説。業者に依頼するタイミング 、見積もりの確認項目、費用を安く抑える方法などについてもご紹介しています。

業者に依頼するタイミングは「退去後」か「契約期間内」

原状回復工事を業者に依頼するタイミングは、 物件が商用か否かで変わります。

店舗やオフィスなど商用利用される賃貸物件の場合、業者への依頼タイミングは「契約期間内」が一般的です。

つまり、賃貸契約の終了前に原状回復工事を終わらせなければならないため、早めの依頼が必要となります。具体的に、2ヶ月以上前の相談が望ましく、3月や連休などの繁忙期前の相談がベターです。

一方、個人用の住居物件の場合、 業者への依頼タイミングは「退去後」となります。

こちらは通常、商用の賃貸物件と比較して、工期が短く済みますが、 契約内容や部屋の構造などによっては想定よりも時間がかかる可能性もあるため、やはり早めに相談するようにしましょう。

原状回復工事の依頼内容は「原状回復ガイドライン」に従う

原状回復工事の依頼内容を確認する際は、 国土交通省の「原状回復ガイドライン」が役立ちます。

原状回復ガイドラインは、 原状回復のトラブル防止を目的に作成されたガイドラインで、原状回復を以下のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

出典:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

つまり、経年劣化など、通常使用によって生じた損耗については借主に原状回復の責任はないとしています。

なお、原状回復ガイドラインは民間の賃貸住宅を想定して定められており、商用の賃貸物件については全て借主負担となるケースが多いです。

また、原状回復ガイドラインは契約内容の参考にはなるものの、法的拘束力がない点にも留意が必要です。

オーナーが原状回復工事業者を指定するケースも

原状回復工事に際しては「オーナーが業者を指定しているケース」も多いです。

ここからは、原状回復工事業者が指定されているケースが多い理由と、指定業者の注意点について見ていきましょう。

業者を指定される理由と変更の可否

原状回復工事業者が指定されているケースが多い理由は、品質のばらつきを避けるためです。

契約ごとに業者が異なると、作業品質にばらつきが生じ、入居者の減少やクレームにつながる危険があります。

また、躯体(くたい)に関わる工事では、建物の安全性に直結するため、オーナー側としては「すでに依頼したことがある、 作業品質の高い業者に頼みたい」という気持ちも強くなります。

このような理由により、契約書に「原状回復業者をオーナーが選定する」という旨の記載がある場合、業者の変更は難しいケースが多いです。

ただし、業者の変更は絶対不可能ではないため「良い業者を見つけた」「昔から顔なじみの信頼できる業者がいる」などの場合は、 オーナーに1度相談すると良いでしょう。

指定業者は見積りや請求額に要注意

指定業者を利用する場合、通常よりも工事費用が割高となる傾向があります。これは相見積もりなどによる価格競争が発生しないためです。

ただし、相場を大幅に上回ることがないよう、見積もりや請求額はしっかりと確認する必要があります。

特に「契約の範囲を超えた工事」「グレードアップの工事」などが実施されていないか、しっかりとチェックしましょう。

見積もりを出すのが遅い業者・費用の内訳を記載しない業者などは、不当請求を考えている可能性もゼロではないためご注意ください。

原状回復工事業者は大きく分けて3種類


業者を選べる場合・業者の変更が認められた場合などは、 主に以下3種類の業者に原状回復工事を任せることが可能です。

  1. 建設会社や工務店
  2. 各工事に特化した職人や業者
  3. 原状回復専門の業者

各業者にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を理解した上で、相談・依頼するようにしましょう。

1. 建設会社や工務店

建設会社や工務店は、規模の大きな修繕・リノベーション工事に強みがあります。

また、有名・大手の建設会社や工務店であれば、安心感を持って依頼できる点もメリットです。

一方、実際の施工は下請け業者が担当するケースも多く、中間コストが発生することで、 費用が割高になりがちです。

自社におけるワンストップな施工ではないため、対応力やスピード感に欠けるケースがあり、細かい注文を出したい場合・緊急で工事をしたい場合などの依頼には向いていないことがあります。

2.各工事に特化した職人や業者

原状回復工事では、クロスや床板など、各工事に特化した職人や業者に依頼する方法もあります。

各工事に特化した専門家であるため、 細かい注文も出しやすく、高い技術力・対応力も期待できるでしょう。

また、中間マージンが発生しないことから、建設会社や工務店と比較して費用が安価で済む可能性があります。

一方、工事をワンストップで請け負うわけではないため、 オーナー側のスケジュール管理負担が重くなる恐れがあります。

この他、繁忙期などでは対応に限界が生じたり、工事完了まで時間がかかる可能性も考えられるでしょう。

3.原状回復専門の業者

原状回復専門の業者は「建設会社や工務店」と「各工事に特化した職人や業者」の中間的な存在ということができます。

費用面については、各工事に特化した職人や業者ほど低価格ではないものの、建設会社や工務店よりもリーズナブルです。

また、原状回復に必要な工事をワンストップで提供しているケースも多く、複数の業者に依頼し、スケジュール管理する手間が省けます。ただし、些細な工事でも引き受けてくれるケースが多いです。

この他、スピードが重視される原状回復工事を専門としているため、 素早い対応も期待できます。

ただし、原状回復専門業者は、比較的小規模な会社も多いため、 繁忙期には素早い対応が難しくなる可能性も考えられます。

原状回復工事業者を選ぶ5つのポイント

原状回復工事業者には複数の種類があることを確認しましたが、実際に業者を選ぶ際は、以下5つのポイントに着目してください。

  1. ニーズに合った工事を行ってくれる
  2. 豊富な実績とノウハウがある
  3. 対応が丁寧かつスピーディー
  4. 見積りの内訳が細かく記載されている
  5. 必要な資格を所有している

1.ニーズに合った工事を行ってくれる

原状回復工事に際しては「どのような人が住む/利用する部屋か」を理解した上で、適切な工事を提案・実施してくれる業者が望ましいです。

例えば、 ファミリー層や女性向け部屋の場合、水回りの補修・ケアを重点的な実施が望ましいケースもある一方、 単身男性向けの部屋の場合は、通常通りの補修で問題ないかもしれません。

このように、部屋ごとのニーズを理解する業者に依頼すれば、物件の価値を適切に保つことが期待できます。

2.豊富な実績とノウハウがある

原状回復工事は、物件の質を左右するため、高いクオリティの工事は求められます。

高いクオリティの工事を実施する業者は、豊富な実績やノウハウを持っている可能性が高いので、業者のホームページなどで確認すると良いでしょう。

特に、依頼したい工事内容に近い事例が多くある業者であれば、スムーズかつ高いクオリティの工事が期待できます。

逆に、施工実績・施工例・施工件数をホームページなどで全く公開していない業者への相談・依頼は、慎重になった方が良いでしょう。

3.対応が丁寧かつスピーディー

原状回復工事においては、 緊急の工事や不具合・クレームに対するフォロー・相談などの対応のスピーディーさが重要です。

原状回復工事がスピーディーに完了すれば、すぐに次の入居者を入れることができ、 オーナー側も機会損失を防ぐことができます。

逆に対応が遅い業者では、最悪の場合、工期が伸びて賃料を余計に支払わなければならないリスクもあります。

また、スピーディーさと引き換えに工事の質が犠牲になったり、要望がうまく伝わらないようでは意味がないので、業者の口コミなどから、施工・対応の丁寧さも確認してください。

4.見積りの内訳が細かく記載されている

見積もりの内訳が大まかにしか記載されておらず、工賃・材料費・工事内容が不明瞭の場合、不要な工事を実施されていたり、 高額請求されている可能性もあるため注意が必要です。

逆に、相場よりも安すぎる見積もりを提示された場合も、気をつけましょう。

このような業者は、防音シートをつけないな ど配慮にかけていたり、 廃棄物を不法投棄している可能性も考えられます。また、後から様々な名目で諸費用を請求してくる恐れもあります。

そこで、原状回復工事の見積もりでは「相場の範囲内の適正価格であること」「内訳が細かく記載されたメールを会計であること」を確認しましょう。

5.必要な資格を所有している

原状回復工事の実施には「解体工事登録」あるいは「建築業許可」が必須です。

解体工事登録では、 業者の事務所が所在する都道府県において、契約金額500万円未満(税込)の工事が許可されています。

一方、建築業許可は、日本全国での原状回復工事が可能で、 契約金額500万円以上の工事も請け負うことができます。

これらの許可を持っていない業者は、違法業者の可能性が極めて高いため、依頼しないようにしましょう。

原状回復工事業者の見積りで確認したい3つの項目


悪徳業者を避け、 良質な原状回復工事業者を選ぶ上で、見積もりのチェックは極めて大切です。 具体的には、以下の3点を必ずチェックするようにしてください。

  1. 1. 原状回復工事の範囲と内容
  2. グレードアップ工事に設定されていないか
  3. 人件費や材料費が相場の範囲内か

1.原状回復工事の範囲と内容

はじめに、見積もりに記載された原状回復工事の範囲と内容が適切かを確認します。

特に「工事面積と見積書の面積が一致するか」「工事の項目が、詳細に記載されているか」については、 チェックが必須です。

工事面積と見積書の面積は、計算方法の違いから、見積書の面積の方が大きく記載されるケースがあります。 この場合、多めに工賃が見積もられる可能性もあります。

また、工事の項目が「クロス張替え/ 壁紙取り替え/ハウスクリーニング」など詳細に記載されておらず「工事一式」などと記載されている場合は、工事内容が不明瞭といえます。

物件の共用部分など、借主負担ではない工事が含まれている可能性もあるため、改めて詳細な見積書を出してもらいましょう。

2.グレードアップ工事に設定されていないか

グレードアップ工事は、部屋を入居時よりも良い状態にする工事を指します。

具体的には新設備を導入したり、クロスや床材のグレードを上げる工事です。

原状回復工事はあくまでも「部屋を入居時の状態に戻す工事」であるため、 グレードアップ工事は 原状回復において不要な工事ということができます。

見積もりが相場よりも高額な場合、グレードアップ工事の可能性も疑ってみましょう。

3.人件費や材料費が相場の範囲内か

見積もり金額は、人件費・材料費などでも左右されるため、 適切かチェックしておくことが望ましいです。

人件費については「作業面積に対して人数が多すぎないか」「人件費が高額すぎないか」などを確認します。

機材搬入が難しく手作業が必要・深夜工事が必須で人件費が割高になるなど、 特別な事情がない場合は、不要な人員が含まれている可能性も考えられます。

また、近年では国際情勢や新型コロナウイルス感染拡大などの影響で、材料費が高騰傾向にありますが、それでも高額すぎると感じた場合は相場を調べ、 業者に問い合わせると良いでしょう。

原状回復工事の費用を安く抑える3つの方法

最後に、適正価格の範囲内で原状回復工事の費用を安く抑える方法として、以下3つをご紹介します。

  1. 契約書類を確認する
  2. 相見積もりを行う
  3. 敷金を差し引いた額が請求されているか確認する

1.契約書類を確認する

契約書類に、原状回復工事の範囲や内容が曖昧に記載されているケースなどでは、請求額の全額を支払わなくて良い可能性があります。

また、東京で一般住宅を借りる際、契約時に「賃貸住宅紛争防止条例に基づいた説明書」の説明が実施され、書面交付されるケースがあります。

賃貸住宅紛争防止条例に基づいた説明書では、一般住宅の原状回復工事の項目が事業用物件よりも 少なく記載されています。

そのため、この説明書に基づいて不動産会社やオーナーと交渉することで、 原状回復工事費用が減額できる可能性があるのです。

なお、2020年4月以降に賃貸契約をした場合もしくは契約更新した場合は、改正民法(民法第621条)が適用されます。

これにより、店舗などの商用物件においても「経年劣化など、通常使用による損耗」については、借主が原状回復義務を負わない可能性があります。

2.相見積もりを行う

指定業者の変更が可能な場合、 業者変更によって工事費用を抑えられる可能性があります。

業者選びに際しては、 条件に合う複数の業者をピックアップし、それぞれに見積もりを取る(相見積もりする)と良いでしょう。

3.敷金を差し引いた額が請求されているか確認する

原状回復費用は、あらかじめ預けた敷金から捻出される仕組みです。

預けた敷金の範囲内で原状回復工事が完了すれば、残った敷金は返却されます。一方、 原状回復工事費用が預けた敷金を超えた場合、超えた費用分のみ借主に請求されます。

そのため、原状回復工事費用を請求された場合は、敷金を差し引いた額の請求か、しっかりと確認するようにしましょう。

敷金を差し引いていない額が請求された場合、必要以上の工事費用を払ってしまう恐れがあります。

まとめ

原状回復工事は、住居用賃貸住宅の場合は退去後、事務所・オフィスなどの商用物件の場合は契約期間内に依頼することが一般的です。

オーナーが業者を指定し、依頼するケースもありますが、業者の変更が可能な場合は「建設会社や工務店、各工事に特化した職人や業者、原状回復専門の業者」などから、選ぶことができます。

業者選びに際しては、 実績とノウハウがあり、ニーズに合う工事をしてくれるかをチェックします。 同時に、対応の素早さや丁寧さ、必要な資格の有無についても確認してください。

業者から出された見積書については、内訳が細かく記載されているか、 適切な範囲・内容の工事か、グレードアップ工事に該当しないか、人件費・材料費が相場の範囲内かを見ておいてください。

なお、契約書類の確認や相見積もりの実施し、敷金を差し引いた額が請求されているかをしっかり確認しておくことで、 原状回復工事費用を安く抑えられる可能性があります。