店舗内装工事を行う3つの業者とは?費用相場と工事業者を選ぶコツを解説
2023年7月25日
店舗内装工事は、店舗の印象を左右する重要な工程です。そんな店舗内装工事を手掛ける業者は1つではなく、それぞれに特徴や強みを持っていることをご存知ですか。
そこで今回は、店舗内装工事を実施する3つの業者をご紹介。店舗内装の工事内容、業態別の費用相場、業者を選ぶ際のポイントについても解説しています。
店舗内装の工事とはなにか
店舗内装工事とは、完成した建物の内部を仕上げるための工事を指します。 店舗内装工事の具体例は、以下の通りです。
- 仕切り壁の設置
- 天井の仕上げ
- 木製建具の設置
- 防音
- 設備工事(電気・水道など) など
内装工事の業者の要素3つ
内装工事には「施工・デザイン・設計」の3要素があります。
各業者ごとに、どの要素に強みが異なるため、それぞれの特徴を理解した上で依頼するようにしてください。
内装工事と建築工事の違いとは
建築工事は基礎から建物を建てる工事です。
一方、店舗内装工事は、建築工事によって出来上がったビル・商業施設などの躯体(くたい)の内装を作り上げる工事を指します。
つまり、建築工事は建物をゼロから建てるのに対して、 店舗内装工事では建物をゼロから建てることはありません。
実際に、建築工事を実施する業者と内装工事を実施する業者は、異なるケースが多いです。
店舗内装の工事を行う業者3つ
店舗内装工事を手掛ける業者は、主に以下の3つです。
- 工務店
- 内装業者
- デザイン・設計を行う会社
それぞれに強みや特徴が異なるため、 違いを理解した上で依頼する業者を決定すると良いでしょう。
工務店
工務店は、内装工事やリフォームなどを手掛けることが可能です。
施工・デザイン・設計をワンストップに担える点が大きなメリットと言えます。また、現場で直接施工する立場なので、現場における対応力も期待できます。
一方、工務店は一般住宅を手掛けるケースが多く、 店舗内装工事の施工実績があまりない可能性があります。また、自社でデザイナーを擁していなかったり、 デザインに注力していないケースも考えられます。
内装工事の技術・実績は工務店ごとに大きく異なるため、店舗内装の経験が豊富な工務店に依頼するようにしましょう。
内装業者
内装業者は、内装工事をトータルに依頼することができる専門業者です。
工務店と同じく、施工・デザイン・設計を担うことができます。内装をワンストップに手掛けるため、スムーズかつスピーディーな工事が期待できる点もメリットです。
一方、自社で職人を擁していない内装業者の場合、業者を通じて下請けを依頼する形となるため、 直接工務店に依頼するよりも費用が割高になる可能性があります。
また、デザインについても、ある程度柔軟な対応は期待できますが、細部にまでこだわりのあるデザインや突飛なデザインは期待できないでしょう。
デザイン・設計を行う会社
デザイン・設計会社は、デザイン・設計のみを担当する専門業者です。
好みの内装デザインやこだわりの設計を形にすることができます。
一方、 デザイナーや設計士を指名する場合、相見積もりを取ることができません。また、デザイン・設計会社と施工会社を別々に依頼しなければならず、手間もかかります。
さらに、設計料としてデザイン・設計会社に工賃の10~15%の支払いが必要となるため、ワンストップに内装工事を手掛ける業者への依頼と比較して、費用が割高になる点もデメリットの1つです。
ただし、施工にも一括対応しているデザイン・設計会社もあるため、 問い合わせや相談の際に確認しておくと良いでしょう。
店舗内装の工事に携わる会社・人材3つ
店舗内装工事には、以下3種類のように、様々な会社・人材が携わります。
- 施工管理会社
- デザイン・設計を行う会社
- 内装工事に携わる職人
ここでは各会社・人材の役割をチェックしておきましょう。
施工管理会社
施工管理会社は、内装工事のトータルな管理を担う会社です。
具体的には、業者の手配や選定・品質管理・進捗管理・見積書の作成などを実施し、期限までに無事 工事を終わらせることをミッションとしています。
優秀な人材や資材の入手経路が豊富で、現場マネジメント能力の高さも特徴的です。
なお、工事1件の請負金額が1,500万円以上では「般建設業許可」、4,500万円以上では「特定建設業許可」を持つ業者しか、案件を扱うことはできません。
デザイン・設計を行う会社
デザイン・設計を行う会社は、依頼者の希望に沿ったデザインを図面にすることがミッションです。
また、工事の進捗を確認する設計監理業務を依頼することが可能な場合もあります。
なお、工事の見積もりについては概算しか出すことができないため、詳細な見積もりについては 施工管理会社に出してもらうと良いでしょう。
内装工事に携わる職人
職人は、実際の内装工事を担う専門業者です。
内装工事には、クロス・塗装・ 左官、特殊工法が必要な工程など様々な種類があり、各専門の職人が工事を担うこととなります。
店舗内装の工事内容7つ
店舗内装工事には複数の種類が存在します。具体的には、主に以下7つの工事があります。
- 壁紙・クロスの工事
- ボード張りの工事
- 塗装工事
- 鋼製下地組立・軽鉄工事
- 床仕上げ工事
- 左官工事
- 木製建具工事
壁紙・クロスの工事
壁や天井にクロス(壁紙)を貼り付ける工事です。
クロスには色・柄・素材などに応じて様々な種類があり、価格の幅も広いです。
内装の雰囲気を大きく左右するため、店舗内装においては、こだわるべきポイントと言えるでしょう。
ボード張りの工事
壁紙や天井の下地として、ボードを貼る工事です。
これにより、 防音性・耐火性・防水性を、壁や天井に付与することができます。
下地ボードには石膏が使用されることが多いですが、 用途に合わせて様々な種類が存在します。
塗装工事
建物を下地に対して塗装してゆく工事です。
見た目を綺麗にするだけでなく、サビ・腐食・ほこりの付着などを防止し、内装を守る上でも大切な役目を果たします。
鋼製下地組立・軽鉄工事
天井・壁といった骨組みを組み立てる工事です。
従来の木材に代わり現在は、燃える心配がなく、湿気や水に強い軽量鉄骨(LGS)の使用が一般的です。
軽量鉄骨の使用によって、工期の短縮や低価格化が実現しています。
床仕上げ工事
建築物の床を仕上げる工事です。
具体的には、タイル・フローリング・畳などを扱い、それらの貼りや敷き詰めを実施します。
空気の通り道・適切な高さの確保など機能面にも配慮する必要があり、同時に仕上がり次第で、内装全体の印象を左右します。
左官工事
壁や天井に素材を塗りつけてゆく工事です。
塗り素材には、漆喰・モルタル・繊維・プラスターなどが使用されます。
古くから人の手で実施されてきた工事で、職人の腕によって仕上がりが大きく左右されます。
なお、近年ではトップコート(コンクリートの壁面などに使用される保護剤)を塗る工事も、左官職人が担います。
また、モルタル防水工事については、 防水工事許可のみならず左官工事許可でも施工できます。
木製建具工事
木製の建具(障子・ふすま・室内ドアなど)を設置する工事です。
内装工事の最終工程で実施されることが一般的で、内装の印象を大きく左右する要素ということができます。
店舗内装の工事の費用相場4つ
店舗内装工事の費用相場は、業種によって変わります。
ここでは、飲食店、事務所・オフィス、美容室・サロン、クリニック・病院の4業種について、 それぞれの内装工事の費用相場について 見ていきましょう。
飲食店の場合
飲食店の内装工事では、新装の場合は坪単価40万円前後、改装工事の場合は坪単価20万円前後が目安です。
ただし実際の費用は、提供する料理の種類によって大きく変化します。
例えば、排煙設備が必要な焼肉屋、業務用オーブン・石窯などが必要なレストラン・ベーカリー、壁材・床材に高品質な素材を使用する高級レストランなどでは、坪単価50万円超となる可能性があります。
一方、特殊な器具・設備が必要なく、 家庭用の器具・設備で間に合う飲食店であれば、坪単価30万円程度に出費を抑えることも期待できます。
事務所・オフィスの場合
事務所・オフィスの内装工事では、新装の場合は坪単価15万円前後、改装工事の場合は坪単価10万円程度が目安です。
ただし、事務所オフィスも飲食店と同様に、業種によって費用が大きく変化する可能性があります。
例えば、トレーニングジムやスイミングスクールなど、専用の器具・設備を揃えなければならない場合は、坪単価50万円を超えるケースも考えられます。
一方、専用の器具・設備をあまり必要としないアパレル・物販の店舗や学習塾などの場合は、出費を相場の範囲内に抑えることが期待できます。
美容室・サロンの場合
美容室・サロンの内装工事では、新装の場合は坪単価35万円前後、改装工事の場合は坪単価20万円前後が目安です。
ただし、高級感を出すためにインテリア・道具・備品などを含む内装にこだわると、坪単価100万円前後という高額出費となる可能性もあります。
クリニック・病院の場合
クリニック・病院の内装工事では、新装の場合は坪単価25万円前後、改装工事の場合は坪単価15万円前後が目安です。
ただし、業態や設備によって費用が大きく変化します。
例えば、 設備が限定的な接骨院・整体などであれば、 必要な内装工事も限られるため、 相場の範囲内に出費を抑えることが期待できます。
一方、デンタルクリニック(歯科医院)の場合は、水まわり・電気の設備工事が必要で、坪単価50万円超の高額出費となるケースも考えられます。
また、CT・レントゲンなど、大掛かりな医療機器を導入する場合も、やはり工事費用が高額になります。
店舗内装の工事業者を選ぶポイント7つ
最後に、店舗内装の工事業者を選ぶポイントについて知っていきましょう。具体的な選び方は以下の7つです。
- 施工実績のある工事業者を選ぶ
- 一括発注できる工事業者を選ぶ
- 保証サービスのある工事業者を選ぶ
- 請負業者賠償責任保険に入っている工事業者を選ぶ
- 専門性の高い工事業者を選ぶ
- 担当者の人柄で選ぶ
- 内装のイメージを汲み取ってくれる業者を選ぶ
施工実績に乏しい業者を選んだ場合、注文とは異なる仕上がりや設備の不具合といったトラブルが生じるリスクも高くなります。
一方、施工実績のある業者は、 内装工事の経験・ノウハウが豊富で、一定以上の技術力を持っている証ということができるでしょう。
これによりスムーズな工事、 デザイン・施工についての豊富なアイデア、トラブル時の行き届いた対応などが期待できます。
内装工事には複数の工程があり、複数の業者が関わることになります。
仮に、依頼者が各業者を手配すると、打ち合わせやスケジュール調整など多くの手間がかかります。
そこで一括発注できる工事業者を選べば、各工程にあった業者を手配してくれるほか、打ち合わせや スケジュール調整の手間を省くことができます。
開店準備に忙しい事業者・コア業務に専念したい事業者などは特に、 内装工事を一括発注できる業者を選ぶメリットが大きいです。
保証サービスのある工事業者を選ぶ
引き渡し後に内装の不具合が生じた場合、補修が必要となります。
このようなトラブルに対しては、内装を手がけた業者が対応しますが、保証期間・保証範囲、費用の有無などは業者ごとに異なります。
そこで契約に際しては、トラブルが起きた際の保証について必ず確認するようにしてください。
請負業者賠償責任保険に入っている工事業者を選ぶ
請負業者賠償責任保険は、工事中のトラブルに対して補償される保険です。
仮に、請負業者賠償責任保険に加入していない業者が、トラブルを起こした場合、 スムーズな賠償ができず工事の中断・遅れが発生するリスクがあります。
多くの業者が請負業者賠償責任保険に加入している一方、 小規模業者などは稀に加入していないケースもあるため、 契約前に必ずチェックしておきましょう。
専門性の高い工事業者を選ぶ
工事業者選びに際しては、単に施工実績があるだけでなく「依頼したい内容に近い専門性や実績があること」が望ましいでしょう。
例えば、カフェの内装工事を依頼したい場合、美容室・サロンの内装に強い業者よりも、飲食店の内装に実績のある業者を選ぶべきです。
依頼したい内容に近い専門性・実績がない業者に依頼すると、思い描いた仕上がりにならない可能性もあるためご注意ください。
担当者の人柄で選ぶ
工事見積もりの詳細について聞いた際、分かりやすく丁寧に説明する担当者は信頼性が高いと言えるでしょう。
逆に質問に対しての回答が不明瞭であったり、分かりやすく回答してくれない場合は、内容のわからない項目が請求されるなど、 トラブルにつながる可能性も考えられます。
特に相見積もりの際は、担当者の人柄・対応が比較できるので、そこから信頼できる業者を見極めてください。
内装のイメージを汲み取ってくれる業者を選ぶ
依頼者が思い描く内装のイメージを汲み取ってくれる業者であれば、満足のいく仕上がりが期待できます。
具体的には、詳細かつ丁寧なヒアリングを実施し、抽象的なイメージを具体化しつつ、積極的に提案してくれる業者が望ましいです。
業態・座席数・客単価・オペレーションなどについても意見交換できると、よりイメージに近い仕上がりが期待できるため、きちんとコミュニケーションが取れる業者を選んでください。
まとめ
店舗内装工事は、すでに建てられている建物の内部を仕上げる工事で、建物をゼロから建てる「建築工事」と区別されます。
店舗内装の主な工事には、壁紙・クロス、ボード張り、塗装、鋼製下地組立・軽鉄、床上げ、左官、木製建具工事などがあります。
店舗内装工事を手掛ける業者は、工務店、内装業者、デザイン・設計を行う会社の3つです。内装業者であれば、上記の工事をワンストップで依頼することができます。
なお、細かい工事内容は店舗の業態によっても異なり、新装か否かでも、費用相場は変わります。例えば、改装工事では坪単価10万円程度で済むケースもある一方、専用の器具設備を導入したり、高級志向の店舗の場合は坪単価50〜100万円超となる可能性もあります。
このように、店舗内装工事にはまとまった費用がかかるため、 施工実績や保証サービスがあり、請負業者賠償責任保険にもきちんと加入しているなど、信頼できる工事業者を選びましょう。