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原状回復

原状回復工事の費用相場|退去時にかかる費用を解説【マンション・オフィス・店舗】

2022年12月27日

原状回復工事は、賃貸物件を元の状態に戻すための重要な作業です。金額の多寡はあるものの、多くの借主・テナントが、退去の際に原状回復工事の費用を請求されることとなります。

そこで今回は、現状回復工事の費用相場を、マンション・オフィス・店舗それぞれのケースに分けて解説。相場に影響するポイントや費用が高くなる場合、費用を抑えるポイントについてもご紹介します。

原状回復にかかる費用はどのくらいか

原状回復にかかる費用は、賃貸物件の用途によって異なります。はじめに、以下の賃貸物件の原状回復にかかる費用相場を見ていきましょう。

  • オフィスの原状回復にかかる相場
  • 店舗の原状回復にかかる相場
  • マンションの原状回復にかかる相場

オフィスの原状回復にかかる相場

オフィスの原状回復にかかる相場は、以下のように物件の規模ごとに異なります。

  • 小規模オフィスの現状回復にかかる相場(坪単価):3〜5万円
  • 中規模オフィスの現状回復にかかる相場(坪単価):4〜8万円
  • 大規模オフィスの現状回復にかかる相場(坪単価):8〜12万円

オフィスの原状回復にかかる坪単価は、オフィスの規模が大きくなるにつれて高額となる傾向です。

店舗の原状回復にかかる相場

店舗の原状回復にかかる相場も、オフィスと同じく、以下のように物件の規模ごとに異なります。

  • 30坪に満たない小規模店舗(坪単価):4〜6万円
  • 30坪以上の大規模店舗(坪単価):3〜5万円

オフィスの原状回復にかかる坪単価は、オフィスとは逆に規模が大きくなるにつれて、安価となる傾向です。

マンションの原状回復にかかる相場

マンションの原状回復にかかる相場は、室内の部位ごとに異なります。 部位ごとの具体的な費用相場は以下の通りです。

  • 壁・天井のクロス張替え:
    1平方メートルあたり1,000~1,500円程度(*ボード取り替えの場合は、およそ3〜6万円)
  • ハウスクリーニング:
    • ワンルーム:1.5〜3万円
    • 1DK・1LDK:3万円前後
    • 2DK・2LDK:4万円前後
    • 3DK・3LDK:5〜8万円
    • 4DK・4LDK:7万円以上
  • キッチン周りのクリーニング:2万円前後
  • 床材の張り替え:1万円前後

上記はあくまでも相場であり、 汚れや傷の具合に応じて費用が加算される可能性があります。

原状回復工事の相場に影響するポイント

原状回復工事の相場は、汚れや傷の具合以外にも、 以下のような要素が影響して変化する可能性があります。

  • 内装にこだわりがある
  • 資材価格等の変動
  • 入居している建物のルール

内装にこだわりがある

一般的なシンプルな内装やあまり内装を施していない物件などは、原状回復工事費用が相場内に収まることが期待できます。

一方、以下のように内装にこだわっていたり、一般的な内装ではない場合には、原状回復工事費用が高額となる可能性があります。

  • 電動昇降機能付きシャンデリア
  • 暖炉
  • 病院のCT/レントゲン室
  • 美容室・サロンの個室や小上がり

資材価格等の変動

原状回復工事に必要な資材の価格は、常に変化しています。

近年では、世界情勢などの影響により人件費・物価をはじめとする諸経費が上昇しており、原状回復工事費用に影響する可能性が考えられます。

入居している建物のルール

同じ間取りや内装でも、新しい建物の方が原状回復工事費用が高くなる傾向にあります。

例えば、新しいビルには様々なシステムや設備が整っており、退去に際してはその変更費用もかかるケースがあります。一例としては、入退館システムの変更などが挙げられます。

原状回復費用が高くなる場合がある

原状回復費用が相場より高額となった場合には、以下のような原因が考えられます。

  • 消耗や破損した箇所が多い
  • 汚れがひどい
  • 原状回復義務の範囲外まで請求されている
  • 指定業者が工事をしている

消耗や破損した箇所が多い

居住用物件の場合、経年劣化などの「通常使用による損耗」については、 基本的に借主が原状回復工事を実施する必要はありません。

ただし、故意もしくは過失によってついた傷、雨漏りなどの対処・報告を怠ったことで発生した損耗などについては、借主が原状回復工事を実施しなければなりません。

また、消耗や破損した箇所が多い場合には、あくまで通常使用した結果であっても、借主も原状回復の負担が発生すると考えられます。

なお、店舗やオフィスなどの事業用物件の場合は特約がついていることが多く、経年劣化による消耗でも原状回復しなければならないケースが多いでしょう。

汚れがひどい

居住用物件の場合、掃除を全くせずに退去すると費用が高額となる可能性があります。

経年劣化で汚れて見える部分や、テレビや冷蔵庫の背面の電気除けなどは、通常借主に原状回復工事の義務はありません。

ただし、日頃からの最低限の掃除やメンテナンスを怠っていた場合、喫煙による壁紙の黄ばみが生じた場合などは「通常使用の範囲を超える」とみなされます。

そのため、日頃から掃除やメンテナンスを実施し、退去時にも掃除をしたり、室内で喫煙しないことで原状回復費用を抑えることが期待できます。

なお、事業用物件は特約により、経年劣化による汚れも現状回復しなければならないケースが多いと考えられます。ただし、それでもできるだけキレイな状態を維持することで、余計な原状回復費用の発生を防ぐことが期待できるでしょう。

原状回復義務の範囲外まで請求されている

居住用物件の退去に際して高額請求された場合は、通常の原状回復義務(経年劣化など)の範囲外まで請求されている可能性があります。

特約によって、通常の範囲外の原状回復の範囲が設定されているケースもあるため、今一度契約内容を確認するようにしてください。

なお、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) 」では特約について「特約にする合理的で客観的な理由がある」「借主が特約を認識し、負担の意思を示している」ことが望ましいとしており、効力を争うことも可能です。

工事内容・費用が明らかに法外なケースでは、悪徳業者の恐れもあるため、第三者に相談すると良いでしょう。

指定業者が工事をしている

オフィス・テナント店舗などの事業用物件は、原状回復の業者が事前に指定されているケースが多いです。

このため価格競争が起こりにくく、費用が高めとなる傾向があります。

相談交渉によって業者が変更できるケースもありますが、先方からきちんと原状回復できていないと指摘されたり、業者の変更でかえって費用が高額となるリスクもあります。

原状回復費用を抑える方法

最後に原状回復費用を抑える方法として、以下の3点をご紹介します。

  • 複数の業者に見積もりを取る
  • 業者に直接確認・交渉する
  • 第三者や公的機関に相談する

複数の業者に見積もりを取る

指定業者以外の複数の業者から見積もりを取り、通常よりも明らかに費用が高いことを示せた場合は、原状回復費用を下げられる可能性があります。

ただし、物件のオーナーから「指定業者以外の見積もりは参考にしない」と言われ、原状回復費用の減額につながらないケースも少なくないと考えられます。

業者に直接確認・交渉する

原状回復に際しては業者からの見積もりをしっかりと確認し「必要な範囲内の工事か」「不要な工事が含まれていないか」などをチェックします。

修繕項目や費用などで不明点があれば、業者に直接確認し、必要に応じて項目の削除や減額などを交渉すると良いでしょう。

居住用物件については「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) 」を確認した上で、借主の原状回復費用の負担を「通常使用による損耗」の範囲内となるように交渉します。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」そのものに法的拘束力はありませんが、 2020年の民法改正により「通常損耗と経年劣化については(借主に)原状回復義務はない」と規程された点も知っておきましょう。

事業用物件については、原状回復の費用相場をある程度知った上で交渉すると良いでしょう。

また、借主が設置した内装・設備が物件に価値を与えるものの場合、オーナーへの買取交渉を通じて、買い取ってもらえる可能性があります。この場合、原状回復の範囲が減り、結果として原状回復費用を 抑えることができます。

公的機関や専門家に相談する

先方が示した原状回復の費用や範囲が適切か、公的機関や専門家に相談し、客観的に判断してもらうのも良い方法です。原状回復について相談できる主な公的機関や専門家は以下の通りです。

消費生活センター・法テラスなどでは、弁護士などの専門家につないでもらうことも可能なため、必要に応じて利用すると良いでしょう。

まとめ

原状回復工事の相場は、 オフィス ・店舗などの事業用途か、居住用途かによって異なります。いずれにせよ、部屋の広さに比例して、原状回復工事費用は高くなる傾向です。

この他、内装のこだわり・資材価格等の変動・入居している建物のルールなどによっても、工事費用は上下します。特に、消耗・破損の箇所が多かったり、汚れがひどい場合は、 工事費用が高くなると考えられます。

ただし、原状回復義務の範囲外まで請求されているために、工事費用が高くなっているケースもあるため、 見積書は必ずよく確認しましょう。事業用物件の場合は、 工事業者が指定されていることで、費用が割高になるケースも少なくありません。

原状回復費用を抑えたい場合は、複数の業者に見積もりを取ったり、業者に直接確認・交渉する方法もあります。 解決の糸口が見えない場合は、公的機関や専門家に相談すると良いでしょう。

(*本記事は2023年6月中旬時点の情報を基に作成されました)